スモモ新品種「ハニーハート」

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要約

スモモ新品種「ハニーハート」は「ソルダム」と「西田」の交雑実生から選抜した中生のニホンスモモである。「ソルダム」より収穫期が1週間前後早く,中玉で果皮は紅紫色となり,酸味の少ない良食味品種であり,東北地方から九州までのスモモ産地に適する。

背景・ねらい

スモモの栽培品種は少数に限られており,栽培の拡大のためには栽培性及び品質の優れた新品種の育成が求められていた。このため,「ソルダム」より熟期が早く,同程度以上の品質を有する品種の育成を目標として試験を行った。

成果の内容・特徴

  • 果樹試験場において昭和48年(1973年)に,「ソルダム」に「西田」を交雑し,種子を得た。翌年は種して得られた実生を昭和49年(1974年)秋に果樹試験場千代田圃場に定植し選抜を行った。昭和53年(1978年)に初結実し,昭和58年(1983年)よりスモモ第1回系統適応性検定試験に「スモモ筑波5号」の系統名で供試し,平成7年9月6日付けで「すもも農林2号」として登録・公表された。
  • 樹勢は強く,樹姿は開張する。枝の発生はやや多く,短果枝および花芽の着生は良好である(表1)。黒斑病の発生がわずかに認められる。
  • 満開から約113日後に収穫される中生種で,「ソルダム」より5~6日早い(表4)。
  • 果実の大きさは80~90g程度,果形は円形で果頂部縫合線の反対側がわずかに突出する。果皮は紅紫色となり,果肉は濃紅色となる(表3)。
  • 糖度は11から15%の範囲にあり,同時期の「ソルダム」とほぼ同程度である。pHは3.5から4.3程度であり「ソルダム」より酸のぬけが早く,まろやかで優れた食味を有する(表4)。果肉は「ソルダム」と同程度の硬さであり,肉質は緻密で果汁が多く,日持ち性も良好である(表3)。

成果の活用面・留意点

果皮色が紅紫色で独特の外観をもち,従来問題となっていた酸の強さが改善されていることから,スモモの消費拡大に有効である。自家不結実性であるため「ハニーローザ」,「オザークプレミア」等の授粉樹の混植が必要である(表2)。結果過多では,小果や品質の低下を招くので適切な結実管理を行う。

具体的データ

表1.「ハニーハート」の樹の特性 表2.「ハニーハート」の交雑和合性

 

表3.「ハニーハート」の果実特性

 

表4.「ハニーハート」の場所別、成熟日数、果実重、屈折計示度及び果実pH

 

その他の特記事項

  • 研究課題名:スモモ第1回系統適応性検定試験
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度(昭和48年~平成6年)
  • 発表論文等:スモモ新品種「ハニーハート」について, 園学雑, 65(別1), 1996.