カンキツ新品種「はるみ」
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要約
カンキツ新品種「はるみ」は「清見」にポンカン「F-2432」を交雑して育成したミカンである。糖度が比較的高く,食味良好である。易剥皮性でじょうのう薄く,少核性で食べやすい。成熟期は1月で,年明けに販売できる広域適応性高品質品種である。
- 担当:果樹試験場・興津支場・育種第1研究室
- 連絡先:成果情報のお問い合わせ
- 部会名:果樹
- 専門:育種
- 対象:果樹類
- 分類:普及
背景・ねらい
晩生カンキツである「清見」は果肉が柔軟多汁でオレンジの風味があり,雄性不稔性であるなどの優れた特性を備えている。しかし,剥皮が困難で食べづらい。一方,ポンカンは早熟で食味が良く消費者の嗜好に合っているが,収量が低く,果実にす上がりが生じやすい。この両品種の交雑により,早熟で食味が良く,剥皮が容易でじょうのうが薄く,また,種子が少なく食べやすい,ミカンタイプのカンキツの育成を試みた。
成果の内容・特徴
- 昭和54年(1979)に果樹試験場興津支場において,「清見」にポンカン「F-2432」を交雑して育成した系統で,系統番号は「カンキツ興津44号」である。
- 平成3年(1991)から第7回系統適応性・特性検定試験において検討を続けた結果,新品種候補にふさわしいとの結論を得,平成8年(1996)8月21日に「はるみ」と命名され,みかん農林12号として登録・公表された。
- 果実は180~200g程度で,果形は扁球形。果皮色は橙色で果面は滑らかである。果皮は薄く軟らかく,剥皮が容易である。果肉は橙色でポンカンに似ており,比較的柔らかい。じょうのうが薄く柔らかく,種子が少ないので食べやすい。成熟期は1月で食味は良好である(表1,表2)。
- 樹勢は中庸で,樹姿はやや直立性である。隔年結果性は強い。そうか病には抵抗性であるが,かいよう病は軽~中程度の発生がみられることがある。カンキツトリステザウイルスによるステムピッティングの発生程度は軽度である。
成果の活用面・留意点
- 1月に出荷,販売ができる,食味の良い食べやすいミカンである。
- 比較的早熟性であるので,栽培適地は広いと考えられる。
- 隔年結果性が強いので,肥培管理を徹底するとともに,適正着果を図る。
- 収穫時期が遅れると浮皮が生じ,また,果皮が薄いため障害を受けるので,適切な収穫時期を把握する必要がある。
具体的データ
その他の特記事項
- 研究課題名:早生カンキツ第5次育種試験
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成7年度(昭和54年~平成7年)