レーザードップラー振動法による果実硬度の非破壊測定

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要約

  • レーザードップラー振動計により、非接触、非破壊で果実の硬度が測定できる。レーザードップラー振動計による測定値はレオメーターによる硬度測定値と相関があり、かつ、従来法の加速度計のようにセンサーを接触させる必要がなく測定誤差が少ない。

担当:果樹試験場・育種部・品質化学研究室

連絡先:成果情報のお問い合わせ
部会名:食品、果樹
専門:食品品質、加工利用
対象:果樹類
分類:研究

背景・ねらい

果実の硬度は糖度、酸度とともに果実品質を判定する上で重要な項目である。果実の糖度に関しては近赤外分光法による非破壊測定が実用化されている。果実硬 度の非破壊計測は加速度計等を使って検討されているが、非接触測定ではなく、かつ、果実硬度との相関も低い等の問題点がある。そこで、非接触で振動を測定 するレーザードップラー振動計を使った果実硬度の非破壊計測法を検討する。

成果の内容・特徴

  • 果実を加振器にのせて、果実表面の振動をレーザードップラー振動計で測定し、フーリエ解析装置(FFTアナライザー)を使って、振動の大きさ、加振側と受振側の正弦波の位相のずれを求め、果実硬度を測定する(図1)。
  • キウイフルーツ、ニホンナシ、モモを用い、レーザードップラー振動計及びレオメーターによる果実硬度の測定を行うと、加振振動数が1200及び1600ヘルツの時に、いずれの果実でも、位相のずれと果実硬度との間には高い相関があり、非破壊で果実の硬度を測定できる(図2)。
  • 従来の加速度計による振動測定は、果実表面にセンサーを設置するため、センサー重量の影響を受けやすい(図3)が、レーザードップラー振動計では非接触であるため、果実の振動を正確に測定でき、感度も高い。

成果の活用面・留意点

広い周波数領域を掃引しているため測定に約3分かかるが、実用化には、単一周波数による測定など測定時間の短縮が必要である。また、果実の種類ごとのキャリブレーションが必要である。

その他

  • 研究課題名:果実の品質構成要素の解明及び品質評価技術の開発
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成9年度(平成8~9年)
  • 研究担当者:村松 昇、桜井直樹(広大総科)、和田直樹(松下寿)、山本良一(帝塚山短大)、田中敬一、朝倉利員、石川(高野)祐子
  • 発表論文等:Critical comparison of an accelerometer and a laser Doppler vibrometer for measuring fruit firmness. HortTechnology, 7(4), 181-185. (1997)