ヒリュウ台利用による高糖系ウンシュウ「白川」の低樹高化並びに品質向上

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要約

樹勢が旺盛で結実しにくい高糖系ウンシュウの「白川」は、ヒリュウ台を利用することにより、低樹高化し糖度が高くなる。また、1樹当たりの収量は少ないが栽植密度を高めることで単収はカラタチ台と同程度になる。

  • 担当:果樹試験場・カンキツ部・栽培生理研
  • 連絡先:成果情報のお問い合わせ
  • 部会名:果樹
  • 専門:栽培
  • 対象:果樹類
  • 分類:普及

背景・ねらい

高糖系ウンシュウは樹勢が旺盛であるため、初期結実性が劣り樹冠拡大が早く大木化し、成木樹は伸長過多となるため摘果、収穫、せん定などの管理作業に多くの労力を要している。とくに「白川」は初期結実性が不良で隔年結果性も激しい傾向にある。
そこで、ヒリュウ台利用による「白川」の低樹高化、早期結実性および品質向上効果を検討した。

成果の内容・特徴

  • 9年生時におけるヒリュウ台「白川」の樹高は、カラタチ台の73.8%程度で(図1)、樹が小型化するため摘果や収穫が容易となり、省力・軽労化が図られる。
  • 1樹当たりの収量は少ないが、単位面積当たりではカラタチ台と差がないため、栽植本数を増加することにより単収も差がない(表1、図2)。
  • 果実はカラタチ台のものに比べ着色が早くなり、糖度が1.0度以上高く酸濃度は同程度で品質が向上する(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 結実を開始すると樹の生育が緩慢となるため、幼木~若木時には栄養生長を促進させ、早期の樹冠拡大を図る。また、結実しやすいため結果過多にならないよう適期に適正摘果を行う(表2)。
  • 他の高糖系ウンシュウでも利用できるが、耕土の浅い園地では樹の拡大が不良となりやすいので植栽は避ける。樹勢の弱い品種では、より衰弱しやすいので利用しない。
  • 雑種実生の出現率が高いので、枝、トゲ、葉の湾曲していない実生および湾曲していても葉が細く小さいものは台木として利用しない。

具体的データ

図1.9年生「白川」の樹高

表1.ヒリュウ台「白川」の果実品質、生育及び収量

図2.「白川」の積算収量

表1.初期生育の異なるヒリュウ台「白川」の果実品質、生育及び収量

その他

  • 研究課題名:樹形の改造が樹体生理に及ぼす影響の解明
  • 予算区分:地域総合
  • 研究期間:平成9年度(平成5~9年)
  • 研究担当者:高原利雄、緒方達志、藤澤弘幸、村松 昇
  • 発表論文等:第15回国際園芸学会議発表予定(ベルギー;1998年8月)