沖縄特産カンキツであるシークワーシャーの血圧・血糖値上昇抑制効果
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要約
カンキツ類の中から健康維持・増進効果が優れているものとしてシークワーシャーを選び出した。沖縄で栽培されているこのカンキツの果汁及び果汁に含まれるポリメトキシフラボノイド(PMFs)の一種ノビレチンには顕著な血圧・血糖値上昇抑制作用が認められる。
- 担当:果樹試験場・カンキツ部・品質化学研究室
- 連絡先:成果情報のお問い合わせ
- 部会名:果樹
- 専門:流通利用
- 対象:果樹類
- 分類:研究
背景・ねらい
我が国の果実消費量は極めて少なく、今後の果樹産業の発展を図る上で極めて大きな制限要因となっている。果実の消費拡大には、果実の健康増進効果を明らかにして消費者へ啓蒙する必要がある。 大型別枠研究「新需要創出」のカンキツグループでは、国産カンキツの中から健康維持増進効果に優れたものを探索し、その候補の一つとしてシークワーシャー を選抜している。将来、健康増進効果をセールスポイントにしてこのカンキツの生産・販売を促進するのに役立つ顕著な健康増進作用を解明する。
成果の内容・特徴
- シークワーシャー果汁を体重1kg 当たり1ml 投与することによって自然発症高血圧ラットの血圧上昇( 図1 )、自然発症糖尿病マウスの血糖値上昇( 図2 )をともに有意に抑制することができる。
- カンキツには他の植物には含まれない特殊なフラボノイド、ポリメトキシフラボノイド(PMFs)が含まれるが、シークワーシャー果汁には市販の他のカンキツ果汁よりも多くのノビレチン、タンゲレチン(いずれもPMFsの一種)が含まれている( 表1 )。またシークワーシャーを添加した沖縄の地場産品もノビレチン、タンゲレチンを含んでいる( 表2 )。
- シークワーシャー由来のノビレチン(20mg/kg)も自然発症高血圧ラットの血圧上昇( 図1 )、自然発症糖尿病マウスの血糖値上昇( 図2 )を有意に抑制することができる。
成果の活用面・留意点
- シークワーシャー果汁やポリメトキシフラボノイド(PMFs)には血圧上昇抑制、血糖値上昇抑制以外にも、各種の健康維持増進効果が試験管・動物個体レベルで明らかになっており、順次公表の予定である。
- これらの効果は今後ヒトでの有効性を検討する必要がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:機能性成分高含有カンキツの開発と評価
- 予算区分 :大型別枠研究「新需要創出」
- 研究期間 :平成 11 年(平成3年~ 12 年)
- 研究担当者:矢野昌充、小川一紀(現国際農研・沖縄支所)、吉田俊雄、
- 指田豊(東京薬科大学)、太田英明(中村学園大学)
- 発表論文等:沖縄産、カンキツシィクワシャーの薬理活性,日本薬学会120年会要旨集2-56,(特許出願:特願2000-56649)