スイングルシトルメロ台利用によるカンキツ「不知火」(デコポン)の樹勢強化
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要約
樹勢の弱化しやすいカンキツ「不知火」(デコポン)は、スイングルシトルメロを台木に利用することにより、果実品質を低下することなく樹勢が強化され、収量が増加する。
- 担当:果樹試験場・カンキツ部・栽培生理研究室
- 連絡先:成果情報のお問い合わせ
- 部会名:果樹
- 専門:栽培
- 対象:果樹類
- 分類:指導
背景・ねらい
カンキツ「不知火」(デコポン)は高品質果実が生産される反面、カラタチ台では露地栽培における幼木の生育は緩慢であり、しかも結実を開始すると樹勢が衰弱してくる。そこで、「不知火」の果実品質を低下することなく樹勢を強化する台木の選択を検討した。
成果の内容・特徴
- スイングルシトルメロ台「不知火」の7年生樹の生育は、シィクワシャー台と同程度であるが、収量及び単位樹冠占有面積当たりの収量はともに多い。また、カラタチ台に比べ明らかに生育良好で、収量も著しく多い( 表1 )。
- スイングルシトルメロ台「不知火」の3年間の累積収量は、シィクワシャー台の約1.6 倍、カラタチ台の約 2.7 倍である( 図1 )。
- スイングルシトルメロ台「不知火」の果実は、果面の滑らかさ、糖度及び酸濃度ともにカラタチ台とほとんど差がなく優れている( 表2 )。
- 以上のことから、樹勢が弱化しやすい「不知火」の果実品質を低下することなく、樹勢を強化できる台木としてスイングルシトルメロは優れている。
成果の活用面・留意点
- スイングルシトルメロはアメリカで育成された品種であるため、台木用の種子はアメリカから購入しなければならない。
- 本研究に用いた「不知火」は、現在一般的に普及しているもので、ウイルス・ウイロイド無毒化処理を実施していない。
具体的データ



その他
- 研究課題名:台木による果実品質及び樹勢制御法の確立
- 予算区分 :国県共同
- 研究期間 :平成 11 年度(平成7年~ 10 年)
- 研究担当者:高原利雄、緒方達志、藤澤弘幸、村松 昇
- 発表論文等:各種台木における‘不知火’の生育、収量及び果実品質, 園学九州研究集録, 7, 15, 1999.