RT-PCR によるカンキツタターリーフウイルスと7種カンキツウイロイドの同時検出
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要約
カンキツタターリーフウイルスと、カンキツエクソコーティスウイロイドなどの7種カンキツウイロイドを一回の RT-PCR で同時に検出する簡易・迅速な方法を開発した。
- 担当:果樹試験場・カンキツ部・病害研究室
- 連絡先:成果情報のお問い合わせ
- 部会名:果樹
- 専門:作物病害
- 対象:果樹類
- 分類:指導
背景・ねらい
ウイロイドは環状1本鎖 RNA から成り、その簡易診断には逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法等の遺伝子診断を行う。しかし、カンキツが保毒するウイロイドは7種存在し、こ れらを個別に遺伝子診断することはコストや手間を要するため、同時に検出する遺伝子診断法が求められていた。また、遺伝子診断によってウイルスも検出する ことができるため、ウイルス・ウイロイドを同時に検出できればより簡便な診断を可能にすると考えられた。
成果の内容・特徴
- カンキツの葉柄部分から、抽出した全 RNA を鋳型に逆転写(RT)反応によって cDNAを合成し、さらにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。PCR では、カンキツタターリーフウイルス(CTLV)と、カンキツエクソコーティスウイロイド(CEVd)、カンキツウイロイド(CVd)-I、CVd- II、CVd-III、CVd-IV、OSCVd(仮称)及び F10CVd(仮称)の7種カンキツウイロイドに特異的に反応する計8組のプライマー対によって増幅した PCR 産物はポリアクリルアミドゲル電気泳動で分子長の異なる特異的バンドとして明瞭に区別された( 図)。
- 本法の結果は、環状1本鎖の構造を持つウイロイド分子を特異的に検出するシークエンシャルポリアクリルアミドゲル電気泳動、個別の RT-PCR 及び CTLV のエライザの結果と一致した。
- 本法を用いて、一般ほ場での CTLV やカンキツウイロイドの発生調査を行ったところ、「不知火」では CVd-I、CVd-II 及び OSCVd の混合感染の多いことが明らかとなった。
成果の活用面・留意点
- 本法を用いることで、より簡便で迅速なウイルス・ウイロイド診断が可能になる。
- RNA 抽出法をより簡便な方法に改良することで、多数の試料を一度に扱えるようになる。
具体的データ

その他
- 研究課題名:カンキツウイロイドの単離及び検定法の確立
- 予算区分 :国県共同
- 研究期間 :平成 11 年度(平成7年~ 11 年)
- 研究担当者:伊藤隆男、家城洋之
- 発表論文等:
カンキツウイロイドの病原性、診断法および国内での分布, 植物防疫 53 (9), 347-350, 1999.
RT-PCR によるカンキツタターリーフウイルス及びカンキツウイロイドの