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一般消費者約 3,500 名の疫学的調査から、10 ~2月にミカンを多く食べるグループは、あまり食べないグループに比べ、糖尿病や心臓病・痛風などの生活習慣病を罹っている割合が有意に低い。
近年、欧米先進国では健康の維持・増進のため果物を野菜と同じくらい摂取することを推奨している。しかし、日本ではそういった認識が殆ど無く、健康増進のために野菜は推奨されているが、果物はあまり重視されていない。果樹産業が低迷している原因として、「果物をたくさん食べると肥満や糖尿病になりやすい」、という誤った認識が広まっているためではないかと考えられる。これまでに日本産カンキツのがんや糖尿病・高血圧などの生活習慣病に対する予防効果を動物実験レベルで明らかにしてきたが、ここでは直接ヒトレベルでの有効性について解明するため疫学的調査研究を行った。
一般消費者約3,500名を対象にミカンの摂取量と生活習慣病の罹患率との関係を調査した。調査項目として身長・体重、ミカンの摂取量、現在罹患し ている疾患名あるいは罹患していなくても健康診断などでその危険性について医師から指摘されている疾患名についてアンケート形式による調査を行った。その 結果、Body mas index 値〔BMI:体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値〕が 24 ~ 26.4 のやや肥満、BMI 値 26.4 以上の肥満、高脂血症の何れもミカンの摂取量と相関は全く認められず、むしろ高摂取群に健康な人が多かった。特に、ミカンのシーズン(10 ~2月)に毎日4個以上食べている高摂取群では、あまり食べない低摂取群(週に2~3個以下)に比べて糖尿病・心臓病・高尿酸血症や痛風などの生活習慣病 に対する罹患率が有意に低いものであった (図1)。
ミカンを多く食べることが、糖尿病・心臓病・痛風などの生活習慣病の予防に繋がる可能性が示唆されており、健康増進効果の面から果実消費拡大に有効な資料となる。