ミカン摂取量が推定できるヒト血清中のバイオマーカー
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要約
ミカンシーズンオフ期とシーズン期における187名のボランティア被験者の血清中β-クリプトキサンチン(β-CRX)濃度の測定結果から、ウンシュウミカン中のβ-CRXは長期間体内に蓄積され、ウンシュウミカンの摂取量を推定するための有益なバイオマーカーとなる。
- キーワード:ウンシュウミカン、β-クリプトキサンチン、摂取量、バイオマーカー
- 担当:果樹研・カンキツ研究部興津・品質機能研究室
- 連絡先:成果情報のお問い合わせ
- 区分:果樹(栽培)
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
日本産カンキツの健康維持・増進効果をヒトレベルで検討するためには、自己申告形式による摂取量で評価するだけでなく、血液中のカンキツ由来成分をバイオマーカーとしてカンキツの摂取量を客観的に評価する必要がある。
成果の内容・特徴
- 187名のボランティア被験者について、10月~2月におけるウンシュウミカンの摂取頻度を調査した後、ミカンオフシーズンの9月・シーズン期の1月・シーズン後の4月の計3回にわたり、β-CRXの血清中濃度を測定した。
- 9月の血清中β-CRX濃度は、2ヶ月間のカンキツ無摂取期間(ジュース等の加工品を含む)をおいてもミカンシーズン期における摂取頻度に依存して高く、更に1月の血清中β-CRX濃度はウンシュウミカンの摂取頻度に依存して著しく高くなる(図1)。
- 血清中β-CRX濃度は、2ヶ月間のカンキツ無摂取期間の後もウンシュウミカンの摂取頻度に依存して高いことから、β-CRXはヒトの体内において一定期間蓄積されていると推定される。
- ヒトが食品から摂取できるβ-CRXの主要な供給源はウンシュウミカンであることから、血清中のβ-CRX濃度を測定することでウンシュウミカンの摂取量を推定できる。
成果の活用面・留意点
- 疾患の指標となる診断マーカーと血清中β-CRX濃度との相関関係を解析することで、より客観的にウンシュウミカンの健康維持・増進効果を評価することができる。
- ウンシュウミカン以外のカンキツ類の摂取量を推定する為のバイオマーカーについては今後の検討が必要がある。
具体的データ

その他
- 研究課題名:カンキツ摂取のバイオマーカーの開発
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001 ~ 2005 年度
- 研究担当者:杉浦 実、松本 光、矢野昌充
- 発表論文等:1)杉浦ら (2002) 治療 84:142-144
2)杉浦ら (2002) 柑橘 1月号:26-32
3)杉浦・矢野 (2000) 第5回JSoFF学術集会要旨集:26
4)杉浦・矢野 (2001) 日本薬学会第121年会要旨集IV:175
5)松本ら (2001) 第6回JSoFF学術集会要旨集:38
6)矢野ら (2001) 第6回JSoFF学術集会要旨集:39