カキへのわい化遺伝子導入によるわい性組換え体の作出

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要約

カキ「西条」の種子内胚軸にアグロバクテリウム法によりAgrobacterium rhizogenes 由来のrolB及びrolC遺伝子を導入すると、わい性の組換え体を獲得出来る。

  • キーワード:カキ、rolB、rolC、わい性、組換え体
  • 担当:果樹研・ブドウ・カキ研究部・栽培生理研究室
  • 連絡先:成果情報のお問い合わせ
  • 区分:果樹(栽培)
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

カキは代表的な大型果樹であり、栽培管理作業を省力化するために、低樹高化栽培技術を開発し、作業の効率化を図ることが望まれている。特にカキについてはわい性台木が確立していないため、その早急な開発が望まれている。一般的に果樹はわい性の種を台木に用いるとわい化する傾向があることから、カキにわい化遺伝子を導入して獲得した組換え体を台木利用することで、地上部をわい化させられると考えられる。そこで、カキにAgrobacterium rhizogenes由来のrolB及びrolC遺伝子を導入し、わい性の組換え体を作出することを目的とする。

成果の内容・特徴

  • アグロバクテリウム法により、カキ「西条」の種子内胚軸にAgrobacterium rhizogenes由来のrolB及びrolC 遺伝子を導入し、rolB導入2系統(PB1,PB2)およ びrolC導入3系統(PC1,PC2,PC3)を獲得している。
  • rolB導入系統のうち、PB2は非組換え体より樹高が低い(図1)。また、本遺伝 子の導入により葉縁が外側に巻き込む特性を示す。PB2に関しては特にその傾向 が強く、また葉の緑色が濃い特性を有する(図3)。
  • rolC導入個体はいずれも非組換え体よりも樹高が低い(図2)。また、節間長の短縮、葉脈を中心とした縮れがみられ、葉も小さい(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 得られたわい性組換え体を台木利用し、わい性組換え台木が穂木生育に及ぼす影響を明らかにする予定である。
  • rol遺伝子導入によるカキのわい化機構を解明するための素材となる。

具体的データ

図1.非組換え体とrolB遺伝子導入個体の樹高の差異(2年生)図2.非組換え体とrolC導入個体の樹高の差異(鉢上げ後3ヶ月)

 

図3.非組換え体とrolB導入個体の生育状況と葉の形態(2年生)

 

図4.非組換え体とrolC導入個体の生育状況と葉の形態(鉢上げ後3ヶ月)

その他

  • 研究課題名:大型果樹へのわい化遺伝子導入による小樹冠化機能台木の開発
  • 予算区分:組換え植物
  • 研究期間:1999 ~ 2001 年度
  • 研究担当者:児下佳子、中村ゆり、小林省蔵、森永邦久、土田靖久、朝倉利員
  • 発表論文等:1)児下ら (1999) 園学雑 68(別1):64
                      2)児下ら (2001) 園学雑 70(別1):78