ブドウウイルス2種はクワコナカイガラムシにより伝搬される
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要約
わが国のブドウに発生しているブドウ葉巻随伴ウイルス3(GLRaV-3)及びブドウAウイルス(GVA)は、わが国に生息しているクワコナカイガラムシにより伝搬されることが確認された。
- キーワード:ブドウ葉巻随伴ウイルス3(GLRaV-3)、ブドウAウイルス(GVA)、
クワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki )、虫媒伝染
- 担当:果樹研・ブドウ・カキ研究部・病害研究室
- 連絡先:成果情報のお問い合わせ
- 区分:果樹・病害虫
- 分類:科学・普及
背景・ねらい
ブドウのウイルス病のうち、リーフロール病及びルゴースウッド症状の病原と考えられるウイルスは、海外では数種のコナカイガラムシ類によって伝搬されることが明らかになっている。しかし、国内には海外で報告のある媒介虫種が生息しないため、それらのウイルス病は専ら接木伝染性であると考えられてきた。ところが 2000-2001 年に行った現地試験の結果、ウイルスフリー樹にウイルスが自然伝搬されたことが確認された。そこで、これらウイルスの国内での媒介虫の種類を明らかにすることを目的に試験を行った。
成果の内容・特徴
- わが国に発生しているブドウ葉巻随伴ウイルス3(GLRaV-3)及びブドウAウイルス(GVA)が、わが国においてブドウをはじめ多くの植物に発生しているクワコナカイガラムシ(Pseudococcus comstocki、図1)により伝搬される。これらウイルスが国内で虫により伝搬されること及びクワコナカイガラムシがウイルスの媒介虫となることは、これまで報告されていない。
- GLRaV-3 はブドウからブドウへ、GVA はブドウからブドウ及び Nicotiana benthamiana(野生タバコの一種) へ伝搬される。
- 伝搬様式の詳細は明らかでないが、罹病ブドウ上にクワコナカイガラムシの1齢幼虫(図2)を置き、4~11日間獲得吸汁させ、その後7日間ブドウ実生幼苗に接種吸汁させた場合に伝搬が認められる。5~15 分間の短時間の獲得吸汁での伝搬は認められないことから、永続あるいは半永続型の伝搬様式である可能性が高い(表1)。
成果の活用面・留意点
- ブドウウイルス病対策として、リーフロール病発症株の抜き取りやコナカイガラムシ類の防除等、虫媒伝染に留意した対策が必要である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:ブドウウイルス病の伝染様式の解明
- 課題ID:09-03-01-*-14-02
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001~2005年度
- 研究担当者:中野正明、中畝良二、井上理央、駒崎進吉