コロニー PCR によるリンゴ根頭がんしゅ病菌の診断法の開発

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要約

病原性アグロバクテリウム菌の検出が可能な PCR 用プライマーを新たに設計し、コロニー PCR 法による病原性菌株の特異的検出法を開発した。本法により、リンゴ根頭がんしゅ病菌の簡易診断が可能である。

  • キーワード:リンゴ、根頭がんしゅ病菌、プライマー、コロニー PCR
  • 担当:果樹研・リンゴ研究部・病害研究室、農環研・微生物機能ユニット
  • 連絡先:成果情報のお問い合わせ
  • 区分:果樹・病害虫、東北農業・果樹
  • 分類:行政・普及

背景・ねらい

近年、リンゴ栽培の省力化、軽労化に向けて低樹高のわい化栽培が推進されている。これらの推進に際しては、大量の苗木供給が不可欠であるが、緊急に苗木生産を実施する中で、生産地の苗木生産現場においてリンゴ根頭がんしゅ病が多発生して一般農家への苗木供給が阻害され、わい化事業の推進が懸念されている。そこで、健全苗木供給のために、リンゴ根頭がんしゅ病菌の簡易な診断技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • Ti プラスミド及び Ri プラスミドの virC 領域上に位置する診断用のプライマー組(VCF3:5'-GGCGGGCGYGCYGAAAGRAARACYT-3'、VCR3:5'-AAGAACGYGGNATGTTGCATCTYAC-3')を設計した。
  • 各種植物等から分離された Agrobacterium 属菌のうち、 biovar が異なり、Ti プラスミド、Ri プラスミドのいずれかを有する9菌株及び非病原性の1菌株を用いて、本プライマー組(VCF3、VCR3)あるいは従来の PCR プライマー組(VCF、VCR:澤田(1995)ら)を用いコロニー PCR を行ったところ、本プライマー組においてコロニーPCRによる病原性菌株の検出が可能であった(図1)。電気泳動により、これらはサイズが 414bp のバンドとして検出される(図1)。
  • 岩手県及び青森県のリンゴ根頭がんしゅ病罹病樹から分離した 29 菌株を用いて、コロニー PCR を行ったところ、トマトに病原性の認められた 18 菌株を特異的に検出できた(図2)。
  • PCR 用 Taq ポリメラーゼ酵素として、主に AmpliTaq Gold(Applied Biosystems)を用いたが、HotStar Taq(QIAGEN)、Ex Taq(TaKaRa) のいずれを用いた場合も同程度の検出感度である。
  • 上記のプライマー開発により、菌株より DNA 抽出を行うことなく、コロニー PCR 法により、リンゴ根頭がんしゅ病菌を簡易診断することが可能である。

成果の活用面・留意点

  • 平板培地での菌株培養後、少なくとも2~28 日間、コロニー PCR 法による病原菌株の診断が可能である。
  • PCR の増幅サイクル数は 35 回以上とすることで安定したバンドとして電気泳動で検出することができる。

具体的データ

図1.プライマーの組み合わせとコロニーPCRによる供試菌株の検出

 

図2.リンゴ根頭がんしゅ病罹病部から分離された菌株とコロニーPCR検出

その他

  • 研究課題名:リンゴ根頭がんしゅ病の高精度診断技術の開発
  • 課題ID:09-03-01-*-07-02
  • 予算区分:交付金、重点事項研究強化費
  • 研究期間:2002~2006年度
  • 研究担当者:吉田幸二、須崎浩一、澤田宏之(農環研)
  • 発表論文等:1)吉田ら(2002) 平成14年度日本植物病理学会東北部会発表 2002年9月26日(盛岡)