セイヨウナシの遺伝子地図作成と黒星病抵抗性の同定
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要約
セイヨウナシ品種「ラ・フランス」の遺伝子地図を作成し、黒星病抵抗性を第2連鎖群に位置付けることができる。本地図及び黒星病抵抗性の情報は、黒星病抵抗性を持つ新品種育成や起源の異なる黒星病抵抗性の解析に利用できる。
- キーワード:ニホンナシ、セイヨウナシ、黒星病抵抗性、SSR
- 担当:果樹研・遺伝育種部・育種技術研究室
- 連絡先:成果情報のお問い合わせ
- 区分:果樹・育種
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
ニホンナシ黒星病は、ニホンナシの最も重要な病害であり、現在の主要経済品種はすべて黒星病に対して罹病性である。セイヨウナシ、チュウゴクナシ等の中には黒星病に抵抗性を示す系統が存在し、いずれも単一優性であることが知られている。しかし、これら由来の異なる抵抗性が同一の遺伝子座にあるかどうかの知見はない。
ニホンナシ黒星病に対して抵抗性であるセイヨウナシ品種「ラ・フランス」の遺伝子地図を作成し、黒星病抵抗性の存在する場所の同定を試みた。
成果の内容・特徴
- セイヨウナシ品種「ラ・フランス」の遺伝子地図を作成した(図1)。本地図は、黒星病抵抗性、自家不和合性、及び各種 DNA マーカーの合計 207 マーカーから構成され、約 1010cM の遺伝距離を持つ。
- 「ラ・フランス」の黒星病抵抗性形質を、第2連鎖群に位置付けることができる(図1中の PS1 )。黒星病抵抗性に連鎖する SSR マーカー CH02B10、BGT23b がある。
- SSR マーカーを橋渡しにして、「ラ・フランス」とリンゴの連鎖地図を統合することができる。属が異なるナシとリンゴで、ゲノム構造が非常に良く保存されている。
成果の活用面・留意点
- 「ラ・フランス」の遺伝子地図は、セイヨウナシやチュウゴクナシの持つ黒星病抵抗性が同一であるかどうかの判定に有効である。
- 遺伝子地図上での黒星病抵抗性の情報は、黒星病抵抗性をセイヨウナシからニホンナシへ導入する際の指標として有用である。
- 今後、ナシの黒星病抵抗性とリンゴの黒星病抵抗性との関係を明らかにする上で、有用である。
具体的データ

その他
- 研究課題名:黒星病抵抗性に連鎖する DNA マーカーの開発
- 課題ID:09-02-07-*-04-02
- 予算区分:黒星病抵抗性
- 研究期間:2000~2003年度
- 研究担当者:山本俊哉、今井剛、松田長生、林建樹、壽和夫、正田守幸、足立嘉彦、木村鉄也(種苗管理センター)
- 発表論文等:1)山本俊哉ら (2002) 園学雑71(別2): 222.