外果皮細胞径、気孔密度によるネクタリン品種の裂果抵抗性判定指標
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要約
ネクタリン品種では、果実側径に対して赤道部外果皮細胞径の小さい品種ほど裂果の発生が少ない傾向が認められ、外果皮細胞径に対する果実側径及び外果皮気孔密度に対する果実側径×縦経の逆数の回帰直線の傾きが裂果抵抗性判定指標として有効である。
- キーワード:ネクタリン、裂果、外果皮細胞径、気孔密度
- 担当:果樹研・遺伝育種部・核果類育種研究室
- 連絡先:成果情報のお問い合わせ
- 区分:果樹・育種
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
ネクタリンは果面に毛がなく丸かじりにも適する等、今後モモに導入すべき形質を有する。しかし、品種により裂果が生じることから、抵抗性品種の育成が求められている。果実肥大と外果皮細胞肥大の関係から、裂果抵抗性判定の簡便な指標を得る。
成果の内容・特徴
- 裂果の著しい「早生ネクタリン」、裂果の少ない「フレーバートップ」について果実側径、果頂部、赤道部及び梗あ部の外果皮細胞径、及び外果皮細胞肥大の簡便な指標として気孔密度の推移を測定する。
- 「早生ネクタリン」と「フレーバートップ」では、外果皮細胞径の肥大は果頂部、赤道部、梗あ部とも前者で早く、大きい(図1)。気孔密度は果実の肥大とともに低下するが、「早生ネクタリン」でいずれの部位においても低い数値で推移する(図2)。
- 上記2品種を含む11品種について検討すると、果実側径と赤道部外果皮細胞径の間には極めて高い正の相関係数が得られ、外果皮細胞径に対する果実側径の回帰直線の傾きには品種による差異が認められ(表1)、この傾きが小さい品種ほど裂果の発生が少ない傾向が見られる。
- 外果皮気孔密度に対する果実側径×縦経の逆数の回帰直線の傾きには品種による差異が認められる。この傾きの大きい品種ほど裂果が少ない傾向が見られる(表1)。
- ネクタリンの裂果の発生には果実肥大に伴う外果皮の肥大程度が関係し、外果皮が大きいほど果実肥大のストレスをより強く受け ているものと推定される。気孔密度の低下は外果皮の肥大程度を反映する数値である。以上から、この2つの回帰直線の傾きは裂果抵抗性判定の指標として有効 であると考えられる。
成果の活用面・留意点
- 裂果が少ないものの肌荒れが発生する「秀峰」ではこれらの指標は適用できない。
- 気孔密度の測定は外果皮細胞径の測定に較べてより簡便であることから、1次評価 の指標として有効である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:モモ(生食用)第6次育種試験
- 課題ID:09-02-04-*-09-03
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2002~2005年度
- 研究担当者:山口正己、土師 岳、八重垣英明
- 発表論文等:1)山口ら(2003)果樹研報 2:77-84.