SSRマーカーによるマルメロの品種識別
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要約
ナシやリンゴで開発されたSSRマーカーを用いて、マルメロの品種識別及び親子関係の確認が可能である。
- キーワード:マルメロ、SSR、品種識別、親子鑑定
- 担当:果樹研・遺伝育種部・落葉果樹ゲノム研究チーム
- 連絡先:成果情報のお問い合わせ
- 区分:果樹・育種
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
マルメロは、バラ科ナシ亜科に属する果樹であり、果実の他にナシの台木として利用されている。形態からの品種識別が困難であり、またRAPDやアイソザイム等の従来の分子マーカーでは十分な多型が得られず、品種識別が困難である。 マルメロと同じナシ亜科に属するナシやリンゴで開発されたSSR(Simple Sequence Repeat)マーカーが、マルメロの品種識別に利用可能かどうかを検討し、さらに品種識別や親子の鑑定を行った。
成果の内容・特徴
- ナシやリンゴ由来のSSRマーカー118種類を試したところ、約2/3にあたる77種類がマルメロで明確な増幅バンドを生じ、属を越えて利用可能である。そのうちの28種類のSSRマーカーがマルメロ品種間で多型を示し、品種識別に利用できる。
- 多型を示した28種類のSSRマーカーから得られた合計88本のバンドを用いて品種識別を行ったところ、図1のように、マルメロ17品種を11のタイプに識別することができる。
- 台木用の品種である「Sydo」、「Quince A」、「Quince B」、「Quince C」、「Vitory」、「Doue」、「BA-29」などは遺伝的に非常に近縁である(図1)。
- 「Angers」と「Champion」、「在来種」と「Portugal」と「Acucar」、「C-98-4」と 「Quince C」、「Quince A」と「Quince B」と「Sydo」は相互に識別ができず、このことから、枝変わり又は異名同品種の可能性がある。
- 2ケ所(青森、長野)で保存されている「かおり」、3ケ所(秋田、青森、長野)で保存されている「スミルナ」は、それぞれ全く同じ遺伝子型を示したことから、クローンであることが確認される。
- 「かおり」及びその両親とされる「スミルナ」、「在来種」の親子鑑定を行ったところ、両親由来の対立遺伝子が矛盾なく「かおり」に伝わっていることから、親子であることが確認される。
成果の活用面・留意点
- 枝変わりの場合に、今回使用したSSRマーカーでは判別できない。
具体的データ
その他
- 研究課題名:落葉果樹類の分子マーカーの作出
- 課題ID:09-02-07-*-05-03
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001~2005年度
- 研究担当者:山本俊哉、木村鉄也(種苗管理セ)、副島淳一、眞田哲朗、伴 義之(種苗管理セ)、林 建樹