ウンシュウミカンをよく食べる人はHDLコレステロール値が通年で高い

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要約

  ミカンシーズンにウンシュウミカンを多く食べることにより血清中のβ-クリプトキサンチン濃度が著しく高くなる人はHDLコレステロール値が年間を通して高い傾向があり、脂質代謝に好影響を及ぼすと考えられる。

  • キーワード:ウンシュウミカン、β-クリプトキサンチン、HDLコレステロール
  • 担当:果樹研・カンキツ研究部・品質機能研究室
  • 連絡先:成果情報のお問い合わせ
  • 区分:果樹・栽培
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

  近年、ウンシュウミカンに特徴的に多く含まれるβ-クリプトキサンチンに関する機能性研究が動物実験等で進展しており、今後はヒトに対する有効性の検討が重要な課題となっている。
これまでに当研究室では血清β-クリプトキサンチン濃度がミカン摂取量と極めて良く相関することを見出し、ヒトレベルでミカン摂取と健康機能性の関係を評価する際の有効な指標であることを明らかにしている(平成15年度成果情報)。
そこでミカンオフシーズンからミカンシーズンにかけての血清β-クリプトキサンチン濃度の変化と血清脂質との関連を解析し、ミカン摂取が脂質代謝に好影響を及ぼすかどうかを検証する。

成果の内容・特徴

  • 喫煙歴を有さない健康な女性被験者(94名)の協力を得て、ミカンオフシーズンの9月とミカンシーズンの1月に、血清β-クリプトキサンチン濃度と血清脂質(総コレステロール値、HDLコレステロール値及びLDLコレステロール値)を測定する。
  • 血清β-クリプトキサンチン濃度の9月から1月の変化量をもとに4分割位にグループ分けを行うと、最も変化量の高いグループでは最も低いグループと比較して、HDLコレステロール値が9月と1月のどちらの検査時においても有意に高い(表1)。
  • この結果は、毎年ミカンシーズンにミカンを多く食べることがミカンシーズンだけではなく年間を通して脂質代謝に好影響を及ぼすことを示唆する。

成果の活用面・留意点

  • 本調査結果は積極的な介入を行わない観察研究であるため、より因果関係を明らかにするためには介入研究が必要である。

具体的データ

表1 血清中のβ-クリプトキサンチン濃度、血清脂質の9月及び1月の測定値と変化量

その他

  • 研究課題名:カンキツ成分による糖尿病予防改善効果の検討
  • 課題ID:09-02-06-*-23-04
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:継2003~2005年度
  • 研究担当者:杉浦 実、小川一紀
  • 発表論文等:1)Sugiura M et al. (2004) Journal of Nutritional Science and Vitaminology. 50:410-415