ヒュウガナツの少核果生産の受粉樹に最適な新品種候補「カンキツ口之津41号」
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要約
カンキツ新品種候補「口之津41号」は、茎頂接ぎ木とコルヒチン処理の組み合わせで育成されたヒュウガナツの四倍体である。ヒュウガナツに受粉すると結実率は高く、種子数が著しく減少し、無核果も生産される。
- キーワード:カンキツ、四倍体、新品種、受粉樹、少核果、ヒュウガナツ
- 担当:果樹研・カンキツ研究部・育種研究室
- 連絡先:成果情報のお問い合わせ
- 区分:果樹・育種
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
4月以降に成熟するヒュウガナツは爽やかな風味をもち良食味であるが、自家不和合性で単為結果性がなく自然結実果は種子が多い欠点 がある。四倍体ナツミカンの受粉で少核果が得られるものの、開花期が異なり花粉の貯蔵が必要である。また、突然変異で発生した四倍体ヒュウガナツの受粉で も少核果は得られるが、先祖返りが激しく受粉樹としての利用が困難である。そこで、ヒュウガナツの少核果生産に安定して利用できる四倍体ヒュウガナツを育 成する。
成果の内容・特徴
- 1982年(昭和57年)に果樹試験場口之津支場(現果樹研究所カンキツ研究部口之津)において、茎頂接ぎ木とコル ヒチン処理の組み合わせで得られた四倍体ヒュウガナツである。2001年(平成13年)4月からカンキツ第9回系統適応性・特性検定試験を実施し、 2005年度(平成17年度)常緑果樹系統適応性・特性検定試験成績検討会でヒュウガナツの受粉樹として優れていることから、品種登録候補にするとの結論 が得られた。
- 果実は平均235gで、果皮は黄色∼黄緑色、厚さ約6.5mmで厚い。果面は平滑で、1月中下旬に完全着色する。肉 質は軟らかく果汁量は多い。果汁の糖度は平均10.5%、減酸は遅く晩生である。成熟期は3月中∼4月下旬である。含核数は平均9粒程度で、種子は単胚性 である(表1)。
- 樹勢および枝梢の密生程度は中位である。トゲは無、あっても短い。結実性は劣るが着花は多く、花粉量も多い。そうか病およびかいよう病ともに強い(データ略)。
- ヒュウガナツに受粉すると結実率は高く、種子数が著しく減少し無核果も生じる。また、ナツミカン花粉を受粉した果実と比べ、果実重や果実品質には差が認められない(表2、図1)。
成果の活用面・留意点
- ヒュウガナツより果皮は厚いが、やや大玉で品質には差がないことから生果として販売できる。
- ヒュウガナツと開花期が同時期なので、花粉を貯蔵することなく使用でき、わが国のヒュウガナツ産地において、受粉樹としての利用が期待される。
- 特性は安定しており、これまで先祖返りしたものは知られていない。
具体的データ



その他
- 研究課題名:カンキツ第9回系統適応性・特性検定試験
- 課題ID:09-02-04-*-14-05
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001∼2005年度
- 研究担当者:生山巌、松本亮司、吉岡照高、國賀武、高原利雄、稗圃直史、今井篤