ほうき性で菊咲き性および白色の花弁をもつ花モモ新品種「白楽天(はくらくてん)」

要約

「白楽天」は樹姿がほうき性で花弁が菊咲き性かつ八重咲き性で白色である花モモ新品種である。

  • キーワード:花モモ、新品種、ほうき性、菊咲き性、八重咲き性
  • 担当:果樹・茶・ナシ・クリ等
  • 代表連絡先:電話 029-838-6453
  • 研究所名:果樹研究所・品種育成・病害虫研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

観賞用の花モモには樹姿、花弁の色や形に広い変異がみられ、その形質の組合せの違いが品種としての魅力である。枝が直立するほうき性と、一般的に菊咲き性と呼ばれる花弁が長軸にそって湾曲することにより花弁の幅が狭くなる形質の両方を備えた花モモ品種はこれまでに知られていないため、その育成を図る。

成果の内容・特徴

  • 2008年に果樹研究所において獲得したG-107-6(ほうきもも自然交雑実生×菊桃)の自殖実生から選抜した。2010年以降、東京農業大学との共同研究とし、東京農業大学(神奈川県厚木市)に植栽して共同で選抜を続けた。2010年に初開花し、ほうき性で花弁が白色の菊咲き性であることが判明した。その後の調査においても安定してほうき性の樹姿および菊咲き性を示したことから花モモ新品種候補として選抜した。2014年7月15日に品種登録出願し、12月4日に出願公表された。
  • 樹姿はほうき性で直立し、樹勢は中程度である(表1、図1)。神奈川県厚木市における開花盛期は、4月中旬頃であり、「菊桃」より4日、「京舞子」より2日程度早い。
  • 花の大きさは30mm前後で、いずれの対照品種よりも小さい(表1)。花弁は長さ19mm前後、幅8mm前後の狭楕円形で、「ほうきもも」の花弁とは形が異なり、「菊桃」や「京舞子」と同様に菊咲き性の花型を示す。また、花弁の数が25枚程度と多く、対照品種と同様に八重咲き性である(図2)。花弁色は白色であり、いずれの対照品種とも異なる。
  • 果実重は20g程度と極めて小さい。屈折計示度は13.2%であるが、甘みは少ない。pH3.45と酸味が強く、渋味および苦味が多く、食味は不良である。

成果の活用面・留意点

  • 庭園木としての普及が期待される。
  • 果実は小さく、食味も不良のため食用にはできない。
  • 苗木販売は2016年秋季以降に開始予定。

具体的データ

図1~2,表1

その他

  • 中課題名:高商品性ニホンナシ・クリ及び核果類の品種育成と省力生産技術の開発
  • 中課題整理番号:142a0
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2008~2014年度
  • 研究担当者:八重垣英明、山口正己(東京農業大)、末貞佑子、澤村豊、安達栄介、山根崇嘉、馬場正(東京農業大)
  • 発表論文等:八重垣ら「白楽天」 品種登録出願第29379号 (2014年12月4日出願公表)