ばれいしょ新品種候補系統「北海74号」

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要約

「北海74号」は白皮・白肉・大粒で目が浅く調理特性に優れ、エグ味の元となるグリコアルカロイドの生成量が少なく、一次加工、業務用に適する。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持ち、中生・多収で粒揃いの良い系統である。

  • 担当:北海道農業試験場・畑作研究センター・ばれいしょ育種研究室
  • 連絡先:0123-36-8861
  • 部会名:作物
  • 専門:育種
  • 対象:いも類
  • 分類:普及

背景・ねらい

食用ばれいしょの消費は、生いもの家庭消費から外食・加工・調理済食品等の業務用消費中心に変化している。これに伴って品種に求められる特性も調理しやすさが主となり、既存品種の「男しゃくいも」や「メークイン」では対応できなくなっている。加えて業務用ばれいしょは一次加工されたものが供給されるようになり、消費ニーズから白肉で剥皮特性等に優れた新品種の要望が強い。

成果の内容・特徴

「北海74号」は「Pentland Dell」と「R392-50」の交配種子から選抜された系統で、以下の特性を持つ。

  • 中生の多収、良質系統で、外観にも優れる(表1、2)。 収量は「男しゃくいも」比130%、L以上は2.7倍で、中生ではあるが晩生の「農林1号」並の収量がある。また、内部異常の発生はほとんどなく、大粒、卵型で粒揃いが良く、白皮・白肉、表皮は滑らかで、目や尻が浅く外観が良いため、商品歩留りが高い。
  • 調理・一次加工特性に優れる(表3)。 剥皮歩留りは高く、トリミング数が少ない。白肉で剥皮褐変と調理後黒変が少なく、煮くずれは僅かで、煮物やレトルト食品等の業務、加工用の大量消費のニーズに応えられる。
  • 緑化が少なく、低グリコアルカロイドである(表3)。 曝光による緑化が少なく、苦み(エグ味)の元となるグリコアルカロイド生成量が少ないため、品質保持、流通適性に優れる。
  • ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する(表1)。 近年大きな問題となっているシストセンチュウの汚染地域で栽培が可能である。

成果の活用面・留意点

採種栽培では種いも規格外の大いもができやすいので、栽植密度、収穫時期に注意を要する。
栽培に当たっては特大の規格外いもの増加やでん粉価の低下を防ぐため、多皮を避けてやや密植とし、初期生育の促進をはかり完熟塊茎を収穫することが望ましい。

具体的データ

表1 主要特性

表2 収量調査試験成績

表3 調理特性など

その他

  • 研究課題名:ばれいしょ優良品種育成、低グリコアルカロイド加工用ばれいしょ品種の育成
  • 予算区分 :経常、高収益畑作
  • 研究期間 :平成6年度(昭和58年~平成6年)
  • 発表論文等:バレイショ褐色心腐の発生、育種作物北海道談話会会報、32号、頁(26-29)、1991.
                      バレイショ塊茎における切断(剥皮)後黒変、同誌、32号、頁(30-31)、1991.
                      バレイショ塊茎緑化とグリコアルカロイド含量、同誌、34号、頁(110-111)、1993.
                      ばれいしょ塊茎の剥皮歩留りおよびトリミング数の品種間差、同誌、35号、
                      頁(40-41)、1994.