ばれいしょ難糖化性チップス用系統「北海76号」

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要約

「北海76号」は貯蔵中の糖化が少なく、ポテトチップスの品質を低下させる還元糖の含量を低く保つ。このため6°Cの低温貯蔵により、冬期間を通じて良質のチップス生産が可能である。

  • 担当:北海道農業試験場・畑作研究センター・ばれいしょ育種研究室
  • 連絡先:0123-36-8861
  • 部会名:作物
  • 専門:育種
  • 対象:いも類
  • 分類:研究

背景・ねらい

ポテトチップスは周年生産されており、原料ばれいしょとしてトヨシロ、ワセシロ、農林1号が36万t使われているが、これらの品種は低温貯蔵下での還元糖の増加が著しく、冬から春の原料には適さない。現在は10°Cの中温貯蔵と16°Cの加湿処理で対応しているが、チップスの品質劣化と萌芽による原料の減耗が避けられず、低温貯蔵下で還元糖が増加しない品種の育成が強く求められている。

成果の内容・特徴

  • 「北海76号」は「北海68号」と「ND860-2」の交配種子から選抜された系統で、6°Cの低温貯蔵下での還元糖含量が主要原料用品種「トヨシロ」の約1/4の難糖化性系統であり、冬期間に前処理なしでチップスが製造でき、製品の品質も良い。
  • 熟性は早生、茎葉は小型で堆肥性、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性があり、栽培しやすい。収量は「トヨシロ」比83%と少収であり、いももやや小さいが、疎植・増肥栽培では4t/10a以上となり、油加工原料品種の母本として優れる。

成果の活用面・留意点

難糖化性母本としての活用では開花数が少ないので開花を増加させる栽培(長日、増肥)が望ましい。

具体的データ

表1 収量試験成績および塊茎特性など

表2 6°C貯蔵中の還元糖含量およびポテトチップ色の時期別推移

表3 北海76号の施肥量栽植密度反応

その他

  • 研究課題名:ばれいしょ優良品種の育成、加工適性に優れた生産性の高いばれいしょ
  • 系統の育成
  • 予算区分 :経常、共同研究(ホクレン)
  • 研究期間 :平成6年度(昭和61年~平成6年)
  • 発表論文等:バレイショの低温低糖性系統の開発、育種学雑誌、39巻別冊2号、
                      頁(366-367)、1989.
                      低還元糖ポテトチップス原料用系統の育成、育種学雑誌、41巻別冊1号、
                      頁(266-267)、1991.