日本ナシ新品種「67-17-22」
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要約
「新世紀」に「北甘」を交配して日本ナシ新品種「67-17-22」を育成した。北海道で9月下旬から10月上旬に収穫される。外観が良く、果実重は約330gで、「北甘」より大きく、「身不知」より小さい。食味は「北甘」よりやや優れ、「身不知」より優れる。「北甘」と比べて裂果が少なく、収量が多い。
- 担当:北海道農業試験場・作物開発部・果樹研究室
- 連絡先:011-857-9305
- 部会名:作物
- 専門:育種
- 対象:果樹類
- 分類:普及
背景・ねらい
北海道では寒さが厳しく、本州の日本ナシ品種は寒害を受けやすいため、栽培が困難である。在来品種の「身不知」は耐寒性は強く、収量が多いが、品質が劣るため、年々栽培面積が減少している。北海道農業試験場はこの「身不知」に品質の優れた本州の品種を交配して育種を進め、品種の良い「北甘」を育成したが、裂果しやすいため、あまり普及していない。そこで、「北甘」を改良した新しい品種の育成を図る。
成果の内容・特徴
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樹の特性
1) 樹姿は開張と直立の中間で、樹勢は強い。枝の発生は密で、短果枝の着生は多い。耐寒性はやや強で「北甘」並である。
2) 交配和合性は「北甘」、「北星」、「北豊」、「身不知」、「バートレット」、「ブランディワイン」で高い。収量は収穫期が早いわりには多収である。
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果実の特性
1) 果実平均重は約330gで、揃いも良い。果形は扁円で、果皮は熟すと黄緑色になる。果面のさびは少で、果点は小さく、外観は良好である。裂果は「北甘」より極めて少ない。果芯は「北甘」に似て小さい。
2) 果肉硬度は「北甘」よりわずかに硬い。糖度、リンゴ酸ともに「北甘」より高く、両者の調和が良い。肉質はやや密で食味は「北甘」より良好である。
3) 北海道では9月下旬から10月上旬にかけて収穫され、早生種の晩い方に属する。「北甘」とほぼ同時期か、3日遅れ、「身不知」より約3週間早く収穫される。普通の貯蔵で約1ヵ月、冷蔵すると12月から翌年の1月ころまで約3ヵ月貯蔵が可能である。
成果の活用面・留意点
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品揃えを豊かにするため品質の良い早生のナシを求めている感光果樹園に普及するとともに、減少しつつある「身不知」に替わる植栽が見込まれる。
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収穫が早すぎると甘味が不足し、遅すぎると年によって果肉が水浸状になることがあるので適期収穫に努める。
具体的データ



その他
- 研究課題名:なしの新品種育成試験
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成6年度(昭和25年~平成6年)
- 発表論文等:なし