集約放牧を組み入れたホルスタイン去勢牛の育成・肥育方法
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要約
ホルスタイン去勢牛肥育において、育成期に高増体が得られる集約放牧を組み入れることにより、慣行の飼養方式と同じ期間で同等の肉量、肉質の枝肉が生産でき、飼料費を大幅に節減できる。
- 担当:北海道農業試験場・草地部・放牧利用研究室
- 連絡先:011-857-9313
- 部会名:畜産・草地
- 専門:飼育管理
- 対象:家畜類
- 分類:研究
背景・ねらい
これまで行われてきた放牧を取り入れた肉牛の育成・肥育方式は、放牧期間の増体量が舎飼に比べ大幅に劣り、仕上げまでの期間が長期化することで、一般的な普及に至らなかった。しかし、従来の放牧育成より高増体で育成できる集約放牧技術が開発されたので、この技術を組み込んだホルスタイン去勢牛の育成・肥育方法について、増体量、肉質、経済性を検討し、放牧を取り入れた肥育体系の実用性を明らかにする。
成果の内容・特徴
集約放牧を組み入れたホルスタイン去勢牛の牛肉生産を行い(放牧育成区)、濃厚飼料多給型で飼養された牛(舎飼区)と増体、肉質について比較した。
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6ヶ月齢の肥育もと牛を12ヶ月齢までチモシー草地で集約放牧により育成した(草地飼料作研究成果最新情報第8号44参照)後、24ヶ月齢まで肥育した(表4、5)。放牧育成期、舎飼肥育期の日増体量はそれぞれ0.92、1.24kgであった(図)。
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放牧育成区は、舎飼区に比べ舎飼肥育期間中の増体が高く、飼養期間通産の日増体量はほとんど変わらない(表1、図)。
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放牧育成区の枝肉歩留、肉質等級3以上の割合はともに舎飼区と同等だが、肉質は全国平均に比べ大幅に高く、良質の牛肉が生産できる(表1)。
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屠場における内臓の一部廃棄率は、北海道の平均値に比べ低い(表3)。
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給与飼料費は、1頭当り152千円で、舎飼区の190千円に比べ、飼料費が20%削減できる(表2)。
成果の活用面・留意点
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ホルスタイン去勢牛肥育において、放牧を取り入れた低コスト牛肉生産技術として有効。
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放牧馴致期、肥育馴致期に増体を停滞させない飼養管理が必要。
具体的データ






その他
- 研究課題名:高増体放牧システムを組み入れたホルスタイン種去勢牛の肥育生産技術の確立
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成5~6年
- 発表論文等:集約放牧を組み入れた肥育牛生産、日草誌41(別)