早期収穫向けでん粉用ばれいしょ新品種候補系統「北海72号」

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要約

ばれいしょ「北海27号はいもの肥大とでん粉価の上昇の早い中生のでん粉原料用系統である。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性(H1)を持ち、大粒で粒揃いが良く、秋小麦前作物としての9月上旬のでん粉収量は紅丸並である。

  • 担当:北海道農業試験場・畑作研究センター・ばれいしょ研究室
  • 連絡:01123-36-8861
  • 部会名:作物
  • 専門:育種
  • 対象:いも類
  • 分類:普及

背景・ねらい

北海道のばれいしょ生産量の50%近くはでん粉原料向けであるが、自由化に伴ってコストダウンが、同時に大規模畑作農業の安定策として輪作の確立が課題であり秋小麦の前作物(9月上旬収穫)が求められている。本系統はこれらの要求に応えて育成され、適応性の検討を進めてきた。

成果の内容・特徴

  • 「北海72号」は昭和54年に「島系523号」を母、「R392-50」を父として交配し、その種子から選抜された系統で下記の特性を有する。
  • 既存のでん粉原料用品種「紅丸」、「コナフブキ」より枯凋の早い中生であり、9月上旬のいも収量は「紅丸」より少ないが、でん粉価が3%高く、「コナフブキ」との比較ではいも収量は多く、でん粉価は2%低い。でん粉収量は両品種とも同等である。枯凋後のでん粉収量は両品種よりやや少ない。
  • 茎長は「紅丸」より15,「コナフブキ」より10cm短く、茎数はそれぞれ1.1,0.2本/株少ない。株あたりいも数も少ないが平均1個重は重く、大いも割合が高い。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持ち、線虫汚染およびその危険地域に適する。

成果の活用面・留意点

  • 対象地域は道北・道東のジャガイモシストセンチュウ汚染およびその危険地とし、小麦の前作、でん粉原料の早期出荷向けに作付ける。
  • 裁植密度は5,000株/10a程度の密度とし、9月上旬までの収穫を目標として浴光催芽、浅植、早期中耕・培土につとめ生育を促進させる。
  • 平成7年度北海道農業試験研究推進会議成績会議で普及奨励(課題名:ばれいしょ新品種候補系統「北海72号」)とされた。

具体的データ

表1.主要特性

 

表2.収量調査試験成績

 

表3.早堀りでん粉収量およびでん粉特性

その他

  • 研究課題名:ばれいしょ優良品種育成
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度(昭和54年~平成7年)