オーチャードグラスの2番草成分の品種・個体間差と近赤外分析による推定精度

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要約

オーチャードグラスの2番草の,ADF,NDFを分析し,大きな品種間差異がみられた。その試料から近赤外分析用検量線を作成し,精度の高い2番草用検量線を得た。従来の化学分析より迅速に成分分析が可能で,育種の成分選抜に活用できる。

担当:北海道農業試験場・草地部・イネ科牧草育種研究室
連絡先:011-857-9273
部会名:畜産・草地(草地)
専門:育種
対象:牧草類
分類:研究

背景・ねらい

近年,乳牛の高泌乳化にともない粗飼料でも高品質なものが求められているため,牧草育種でも品質改善が重要になっている。オーチャードグラスでは,1,3番草より夏季の高温下で生育する2番草の品質低下が大きな問題である。そこで2番草の成分選抜に対する近赤外分析法の適用と選抜の可能性を検討した。

成果の内容・特徴

外国・国内流通品種(76品種)の2番草(夏季の材料)のCP,ADF,NDFを実測した。各成分とも大きな品種間差異が認められ,特に,ヘイキングIIは,いずれの成分も,他の品種より低かった(図1)。
上記の試料から近赤外分光光度計(社model6500)によって3成分の検量線を作成した。2番草の未知試料26点を用いて,検量線の精度を検定した結果,CPの精度が最も高く,次いでADF、NDFであった(表1、図2)。また、数品種の1～3番草のサンプルをこみで作成した検量線より精度が高かった(表1)。
ADF、NDFについて76品種中の高低各2品種(1品種,74個体)を選んで個体植し,播種当年の夏季の材料(8月から9月にかけて4回に分けてサンプリング)を,近赤外分析で評価したところ,品種間差異が認められ,ヘイキングIIのADF,NDFは,4回とも他の品種より低かった。また、品種内にも大きな変異が内在しており,選抜の可能性が示唆された(図3)。

成果の活用面・留意点

オーチャードグラスの2番草については、近赤外分析でCP,ADF,NDFの評価が可能で,育種の成分選抜に活用できる。
2番草のみで検量線を作成しており,他の番草では,実測値と近赤外分析による推定値と異なる可能性がある。

具体的データ

図1.2番草における品種間差異

表1.未知サンプル(2番草)による検量線の精度

図2.NDFでの推定精度

図3.播種当年の夏季の材料における個体間差異

その他

研究課題名:オーチャードグラス高消化率系統の簡易選抜法の開発
予算:作物開発強化
研究期間:平成7年度(平成2～6年)
発表論文等:オーチャードグラスにおける成分育種のための近赤外分析の利用、北海道草地研究会報、30号、1995