たこ型の模型飛行機を用いた空中写真撮影法
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要約
水平安定装置をとりつけたたこ型の模型飛行機(模型カイトプレーン)による簡易空中写真撮影法と、撮影時に発生する画像の歪を補正可能な画像処理ソフトウェアを組み合わせて、高精度な基本画像情報を得るためのシステムを開発した。
- 担当:北海道農業試験場・農村計画部・情報処理研究室
- 連絡先:011-857-9266
- 部会名:地域総合研究
- 専門:情報処理
- 分類:指導
背景・ねらい
北海道では農用地の植生等の調査はその面積が大規模であるために、効率的な調査法の開発が求められてきた。この調査には、これまでは人工衛星写真や、航空機による空中写真を利用することが行われてきたが、人工衛星写真は雲によって撮影が制限されるために適時に撮影ができず、また航空機による空中写真では高額な経費を要するという問題があった。一方、簡易な空中写真撮影に模型飛行機や模型ヘリコプターが利用されてきたが、その操縦には熟練を要し、簡単に撮影することには困難が伴っていた。これらの障壁を乗り越えて、操作性の簡便な模型飛行機と画像処理法を組み合わせた簡易な空中写真撮影法を開発した。
成果の内容・特徴
- 低速で飛行するカイトプレーンに、近年開発された水平飛行安定装置を取り付けることにより無線操縦をはきわめて簡易になり、従来のような熟練を必要としない。
- 撮影に使用したコンパクトカメラのレンズの歪や、撮影時のカメラの俯角の変動による画像の歪を画像処理によって補正する事が可能となり土地利用や植生等の分析に必要な基本的な画像情報が得られる。
- 画像補正の基準となる地表のランドマークの位置は搬送波位相ディファレンシャルGPS測量を用いると1m以下の精度で前もって測定する事が可能で、これによって画像と圃場での位置の同定ができる。この結果、画像の誤差も1m以下になった。
- 撮影高度は100mから200mである。また、風速10m以上の時は飛行困難であった。重量は5kg以下で大きさは1m×1m×50cmで可搬性がよい。システムのコストはカイトプレーンと無線操縦装置、カメラを入れて約20万円である。
(図1)(図2)
成果の活用面・留意点
簡便なカイトプレーンによって、個別農家規模の農場の空中写真の撮影が可能であり、植生調査や土地利用分類が簡便に行える。また、ソフトウェアを発展させれば収量調査や、病害虫調査や、生育むらの調査にも使用できる。カイトプレーンの振動によるカメラのぶれの影響を少なくするために高感度のフィルムを使用することが望ましい。
具体的データ

その他
- 研究課題名:景観の向上をめざした農場と施設の形状、配置の改善手法の開発
- 予算区分:実用化促進(地域総合)
- 研究期間:平成7年度(平成5年~9年度)
- 発表論文等:模型飛行機による簡易な空中写真撮影法の改良と農村景観の解析のためのGIS構築事例、日本造園学会誌、投稿中