遊離アミノ酸アラニン含量による長期貯蔵にんじんの品質と鮮度指標

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要約

初夏まき秋採りにんじんの貯蔵温度を0と5°Cに設定,プラスチック折り込み包装をして長期低温貯蔵をした結果,品質及び鮮度保持に遊離アミノ酸アラニンが指標として活用できる。

  • 担当:北海道農業試験場・地域基盤研究部・品質生理研究室
  • 連絡先:011-857-9301
  • 部会名:流通利用,基盤研究
  • 専門:加工利用
  • 対象:根菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

道産にんじんは作型が限定され,収穫期が秋に集中するため出荷期間の延長または幅を拡大することが望まれている。このため比較的抽だいしにくい2品種(キャロシ-と向陽2号)を秋採りして収穫熟度,貯蔵温度の違いが,呼吸とエチレン生成速度,全フェノ-ル,糖,β-カロチン含量及び遊離アミノ酸含量に与える影響を3年間にわたって調査し,長期貯蔵中の品質と鮮度保持の指標を見い出そうとした。

成果の内容・特徴

  • 遊離アミノ酸のアラニン含量は貯蔵中に経時的に増加した(図1)。このことより,生理的な品質または鮮度指標の一つとして活用できると考えられる。
  • これまでの外観の鮮度指標の一つである表皮の褐変程度は全フェノ-ル含量で表わされるとされており,その含量は貯蔵開始時において年次間で異なるものの,貯蔵中に徐々に増加した(図2)。
  • 糖含量の貯蔵中の消長は品種により様相が異なった。このため共通の指標にはならないと考えられる。キャロシ-の糖含量は温度による変動が小さかったが,向陽2号は変動し,そのショ糖が増加,還元糖は減少した。
  • 貯蔵中の呼吸速度には品種間差異が認められ,向陽2号は温度による差が大きく,キャロシ-は小さかった。

成果の活用面・留意点

にんじんの長期貯蔵中の品質劣化の生理的変化の指標として活用できる。今後,低温下のアミノ酸代謝変動を他の成分との関連で追究する必要がある。

具体的データ

図1.アラニンの消長

 

図2.全フェノール含量の消長

 

その他

  • 研究課題名:根菜類の品質保持のための貯蔵生理の解明
  • 予算区分:高収益畑作
  • 研究期間:平成7年度(平成4年~6年度)
  • 発表論文等:ニンジンの長期貯蔵中の生理的変化、北農試研究報告、164、1996