加熱処理による規格外農産物の飼料化技術
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
ばれいしょ、ながいも、にんじん、たまねぎなどの規格外農産物を水分調整剤と混合して80°C、3.5~8時間の加熱処理によって飼料化出来る。この飼料は牛の嗜好性も良好である。
- 担当:北海道農業試験場・畜産部・飼料評価研究室
- 連絡先:011-857-9236
- 部会名:畜産・草地(畜産)
- 専門:動物栄養
- 対象:家畜類
- 分類:指導
背景・ねらい
近年、北海道ではたまねぎ、ながねぎなど根菜、野菜の作付が増加している。選別場では農産物の規格外品が大量に出て、これらは産業廃棄物として処理されている。そこでこの残渣を飼料として有効利用する技術を開発する。
成果の内容・特徴
ばれいしょ、ながいも、にんじん、たまねぎを原料に、安価で入手が容易なふすま、醤油粕を水分調整材に用いた。飼料調製は原料を装置に投入し、80°Cで一定時間加熱乾燥して行った。製品の評価は飼料成分分析並びに家畜による消化試験、採食試験で行った。
- 原料の混入割合は35~60%であり、それらを調整材と混和して装置に投入し3.5~8時間加熱、3時間冷却を行う事で、水分含量6~19%の製品を調製することが出来た。また歩留まりは92~96%であった。(表1)
- 飼料成分のうち水分は醤油粕を用いた区が高い傾向を示した。粗蛋白質も醤油粕を用いた場合2~3%高まった。ADF含量は13~30%の範囲でばれいしょ区が最も低く、たまねぎ区が高かった。NDF含量はたまねぎ区が高く、ついでながいも、にんじん区の順で、ばれいしょ区が少なかった。(表2)
- それぞれのTDN含量(醤油粕を調整材にしたもの)はながいも75%、にんじん77%、ばれいしょ77%、たまねぎ81%であった。ふすまを調整材にした場合はいずれも前者より6~7%高く、ばれいしょ84%、ながいも82%、にんじん84%、たまねぎ85%であった。(表2)
- 乳牛はいずれも採食し、嗜好性は問題がなかった。
成果の活用面・留意点
- 野菜・根菜選別場から出る副産物の飼料化に活用できる。
- 飼料調製に当たっては材料によって乾燥時間が異なるので、予備試験が必要である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:農産加工副産物等の飼料評価法の開発
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成6年~9年
- 発表論文等:加熱処理による農場副産物の飼料調製と飼料特性、弟92回日本畜産学会大会発表予定、1996