簡易分割釜による多点炊飯法の開発
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
電気釜に2枚の仕切板を設けて4分割することにより、多点炊飯を可能にす方法を開発した。この方法では、各分割釜は完全には隔離されていないが、各炊飯試料の食味評価は個別炊飯の評価と良く一致し、良食味系統の選抜に利用できる。
- 担当:北海道農業試験場 作物開発部 稲育種研究室
- 連絡先:011-857-9311
- 部会名:作物生産
- 専門:育種
- 対象:稲
- 分類:研究
背景・ねらい
水稲の良食味品種育成の効率化のためには、初期世代からの選抜が必要である。良食味系統の選抜には様々な機器分析による間接評価の有効性が報告されているが、機器が高額のうえに一定水準を越えると実用性が十分でない場合が多いため、官能試験への依存度が高い現状にある。官能試験による初期世代系統の選抜のためには、少量の試料を効率的に炊飯することが必要である。そこで、穂別系統または単独系統への適用を目的とした多点炊飯法を検討した。
成果の内容・特徴
- 分割釜の作製法・炊飯能力
金属板を用い、内釜の形に合わせた2枚の仕切板を作製し、組み合わせて内釜に装着する。仕切板は使用のたびに取り外せるようにした方が洗浄等の操作が容易である。仕切板の性能は、釜との隙間から米粒が通過しない程度でよい(図1、図2)。
1点あたりの試料は1リットル用釜で最少40グラム程度であり、10釜を用いることにより同時に40点の炊飯が可能である。
- 炊飯法
試料は等量でなければならない。各試料を研米の後分割釜に入れ、個別炊飯法と同基準量の水を加える。以後は個別炊飯法に準じて炊飯すればよい。試料を網袋に入れることにより、研米、水切りなどの操作が容易になり、多点でも短時間で処理できる(図3)。
- 炊飯米の食味
炊飯米は個別炊飯法と同等の水準が確保できる。試料の食味評価は個別炊飯法での評価とよく一致し、各炊飯法及び反復間での相関も高い(表1、表2、図4)。
- 食味試験法
試料は小皿に盛り、目印をつけた盆に載せる。使い捨ての小皿を用いると準備、片付け等が容易である。パネルは1~5人程度の少人数を前提とする。点数が多いので、調査項目を絞り、短時間で評価出来るようにする。食味良・中・不良の比較品種を明示し、評価を指定して配置すれば、判定が容易で試験精度の向上が図れる。
成果の活用面・留意点
稲の品種育成における初期世代系統の選抜や中後期世代系統の予備選抜のための食味試験に利用できる。香り米等特殊な米には適用できない。
具体的データ




その他
- 研究課題名:水稲の良質、多収、耐冷性品種の育成 (水稲良質品種の育成)
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成7年度(平成5年~7年)