乳タンパク質率と関連するDNAマーカー

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要約

乳タンパク質率育種価の上位集団と下位集団の間のDNAマーカー対立遺伝子頻度を比較したところ、MAF46、CSN3、BM888で有意な差が認められる。

  • 担当:北海道農業試験場・畜産部・家畜育種研究室
  • 連絡先:011-857-9270
  • 部会名:畜産・草地(畜産)
  • 専門:バイテク
  • 対象:家畜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

ゲノム中に散在しているマイクロサテライトDNAマーカーは多型性が非常に高い。DNAマーカーの多型性を解析することで、形質との連鎖関係を明らかにすることができる。そこで、マイクロサテライトDNAマーカーを解析し、乳タンパク質率との関連性の検討を行う。

成果の内容・特徴

北海道農業試験場で飼養されている乳用牛(ホルスタイン種)99頭のうち、乳タンパク質率の育種価(BV)上位10個体 (BV=0.286±0.006)と下位10個体(BV=-0.159±0.002)を供試個体とした。マイクロサテライトDNAマーカーは、量的形質遺 伝子座位(QTL)の存在が示唆されている第1、6、9、10、20番染色体より選定した。DNAマーカーの検索はバイオデータベースソフトウェアー(ソ フトウェア開発株式会社)を用いて行った。PCR法で目的のDNA領域を増幅した後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で多型性を検出した。上位個体と下 位個体をそれぞれの集団とし、集団間の対立遺伝子頻度を比較検討した。

  • 検出された多型数は、MAF46(第1番染色体)が4、CSN3(第6番染色 体)が2、BM888(第10番染色体)が2である。
  • 上位と下位の集団間におけるDNAマーカーの対立遺伝子頻度を比較すると、M AF46、CSN3、BM888で共に1%水準で有意な差が認められる( 図1 、 表1 )。

活用面と留意点

  • マイクロサテライトDNAマーカーMAF46、CSN3、BM888は乳タンパク質率についての選抜指標の一つとして活用が期待できる。
  • 他牛群における上記DNAマーカーの有効性の検討、ならびに他のDNAマーカーの解析を行うことが必要である。

具体的データ

図1 DNAマーカーの染色体上の相対的位置

表1 上位集団と下位集団におけるマイクロサテライトDNAマーカーの対立遺伝子頻度の比較

その他

  • 研究課題名: DNA多型等を利用した泌乳特性に関連する遺伝標識の解析
  • 予算区分:特別研究(高品質乳)
  • 研究期間:平成8年度(平成6~8年度)
  • 発表論文等:弟92回(平成9年)日本畜産学会で、「乳用牛の泌乳形質とDNAマーカーとの関連性についての検討」として発表。