捕食性天敵類によるばれいしょのアブラムシ類の個体群抑制
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要約
ばれいしょのアブラムシ類に対し捕食性天敵であるテントウムシ類はモモアカアブラムシおよびジャガイモヒゲナガアブラムシの個体群抑制に大きく関与し、またナミヒメハナカメムシはワタアブラムシの個体群抑制に大きく関与している。
- 担当:北海道農業試験場・生産環境部・虫害研究室
- 連絡先:011-857-9280
- 部会名:生産環境
- 専門:作物虫害
- 対象:いも類
- 分類:研究
背景・ねらい
ばれいしょ生産において重要害虫であるアブラムシ類の防除は、薬剤防除体系が主流となっているが、今後環境保全型農業を進めていくためには天敵を生かした
総合的な害虫管理技術が求められている。そこで、ばれいしょのアブラムシ類の発生動態に与える捕食性天敵類の影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
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モモアカアブラムシおよびジャガイモヒゲナガアブラムシは、発生量は違うがほぼ同じような発生消長を示し、7月上中旬に個体数はピークに達し、その後
急速に減少した。それらの個体数が急減する直前には、常にテントウムシ類(ナミテントウ・ナナホシテントウ)の個体数がピークに達していた
(図1)
。ワタアブラムシの個体数は8月上中旬にピークに達し、その後緩やかに減少した。その個体数変動に同調してナミヒメハナカメムシの個体数も変動した
(図2)
。
- アブラムシ類の個体数変動には、気温やばれいしょの栄養状態はほとんど関与していなかった。また、他の天敵類は個体数が少なく、アブラムシ類の個体数
変動に対する影響は少ないと考えられた。したがって、モモアカアブラムシおよびジャガイモヒゲナガアブラムシの個体群抑制にはテントウムシ類が、ワタアブ
ラムシの個体群変動にはナミヒメハナカメムシが主として関与していると考えられる。
成果の活用面・留意点
天敵によるアブラムシ類の生物的防除法の開発に利用できる。
具体的データ


その他
- 研究課題名:ウイルス媒介昆虫の疫学的解析
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成8年度(平成4~8年)
- 研究担当者:中田唯文-->
- 発表論文等:Prey species of Orius sauteri(POPPIUS)(Heteroptera:Anthocoridae) in a potato field in Hokkaido,Japan.,Appl.Entomol.Zool.,29,614-616,1994
Seasonal population prevalence of aphids with special refence to the production of alatoid nymphs in a potato field in Hokkaido,Japan.,Appl.Entomol.Zool.,30,121-127,1995
Population fluctuations of aphids and their natural enemies on potato in Hokkaido,Japan.,Appl.Entomol.Zool.,30,129-138,1995