家畜ふん尿堆肥化システム

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要約

ふん尿の堆肥化にウインドロー方式を採用し、堆肥を列状に堆積するための堆肥堆積運搬車(ウインドロア)とその堆肥列を切返えすための堆肥切返し機を開発し、堆肥化システムを確立した。

  • 担当:北海道農業試験場・作物開発部・農業機械研究室、総合研究部・総合研究第3チーム
  • 連絡先:011-857-9265 0155-62-9286
  • 部会名:総合研究
  • 専門:機械
  • 対象:家畜類
  • 分類:普及

背景・ねらい

安価で簡便、かつ物質循環を前提とした家畜ふん尿処理システムの開発が喫緊の課題となっている。そこで、ふん尿処理システムの一環として堆肥化に着目し、簡易な堆肥化システムを開発する。

成果の内容・特徴

  • 本システムはウインドロー方式を採用し、ウインドローをつくる堆肥堆積運搬車(ウインドロア)とそれに対応した堆肥切返し機によって構成される(図1)。
  • 堆肥堆積運搬車は、上下のビータで粉砕・撹拌しながら堆積するため堆肥化に必要な通気性の確保、均一混合という条件が満たされる。
  • 切返し機はトラクタ装着型で、幅2.3m、高さ1.5mのウインドローを4.5~5.1m/minの速度で切返すことができる。所要動力は、およそ30kW程度である。
  • 夏季の屋外では水分の調整、無調整にかかわらず数日で堆肥温度が60~80°Cに達し、その後2週間おきに3回の切返し作業を行うと、約2ヶ月で堆肥化が終了する(図2)。
  • 簡易堆肥舎(ビニールハウス)内では、水分の調整、無調整にかかわらず堆肥温度は堆積直後から上昇し始め、数日で60~80°Cに達する(図3)。2回の切返し作業で堆肥化は終了する。屋外と比較すると、全体的に温度は高く推移し、切返し回数も少なく、短期間に高品質な堆肥をつくることができる(図2)。
  • 冬季の堆肥舎内では、堆肥温度は水分調整をすると約60°C、無調整では40°Cに達する。2週間ごと3回の切返し作業を行うと、約2ヶ月で堆肥化が終了する。適切な水分調整(70%程度)と管理により冬季でも堆肥化が可能である。

成果の活用面・留意点

  • 堆肥堆積運搬車、堆肥切返し機は実用化されており、導入の計画が進められている。
  • ふん尿が堆積できる程度の水分に調整されていること、堆肥盤はトラクタが走行可能な状態であること、が利用上の留意点としてあげられる。
  • 環境汚染防止及び堆肥化促進の観点から、屋内利用とすること。

具体的データ

図1.システムの概要

 

図2.温度経過(屋内、屋外)

 

図3.ウインドロー内部温度分布

 

その他

  • 研究課題名:家畜ふん尿処理システムの開発 -堆肥調製システムの開発-
  • 予算区分:実用化促進(地域総合)
  • 研究期間:平成9年度(平成5年~9年)
  • 研究担当者:西崎邦夫、柴田洋一、藤井寿美、横地泰宏
  • 発表論文等:
    1)平成6年度研究成果情報(堆肥堆積運搬車)
    2)平成7年度研究成果情報(堆肥切り返し機)
    3)堆肥調製システムの開発,農機誌,59,1997
    4)Development of Compositing System,JARQ,31(4),1997