前作基幹畑作物後が後作直播キャベツの生育・収量に及ぼす影響

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要約

基幹畑作物(てんさい、ばれいしょ、小麦)のあとに直播きされたキャベツの出芽、初期生育並びに収量に対する前作物の種類や前作物残さのすき込みの有無の影響は小さい。

  • 担当:北海道農業試験場・畑作研究センター・生産技術研究チーム
  • 連絡先:0155-62-9274
  • 部会名:総合農業
  • 専門:栽培
  • 対象:葉茎菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

大規模畑作地帯である十勝地方においても野菜の作付けが増えているが、基幹畑作物(小麦、てんさい、ばれいしょ)と個々の野菜との好適な前後作の関係は明らかになっていない。また、労働力競合の緩和等のため普通は移植栽培されるキャベツにおいても直播されることが想定される。そこで、本課題では基幹畑作物の後に直播キャベツを栽培し、直播キャベツの初期生育及び収量に対する基幹畑作物の影響を明らかにしようとした。

成果の内容・特徴

  • 前作物が異なる直播キャベツの出芽率には5%水準で有意な差がない。播種期も播種後の天候が良好であれば直播キャベツの出芽率に影響しないと思われる(図1)。
  • 直播キャベツの生育初期の生育量は、基肥量が少ないと減少するが、前作物が違っても5%水準で有意な差は認められない(図2)。
  • 前作物の種類及び残さのすきこみの有無が異なる直播キャベツの収量の間には、5%の水準で有意な差は認められない(図3)。
  • 以上の結果から、前作物がてんさい、ばれいしょ、春播き小麦のどれであっても、直播キャベツの初期生育及び収量は大きく影響を受けないと考えられる。

成果の活用面・留意点

  • 基幹畑作物の後に直播キャベツを栽培するときの資料となる。
  • 本試験は、殺菌剤が粉衣されている市販のコート種子を使い、生育の初期の病害を防除した条件で行った。その他の耕種概要は表1に示した。
  • 本試験の直播栽培の収量水準は、移植栽培を想定した十勝地域の基準収量5t/m2(十勝野菜の発展のしるべ、平成8年2月発行)にくらべ、同等かやや低めである。

具体的データ

図1.図2.

 

 

図3. 表1.

 

その他

  • 研究課題名:直播キャベツの初期生育に対する基幹畑作物の影響
  • 予算区分:総合的開発研究(高収益畑作)
  • 研究期間:平成9年度(平成7年~9年)
  • 研究担当者:浜口秀生、松崎守夫(現北陸農試)、下名迫寛(現草地試)