PCR法によるネグサレセンチュウ3種の同定
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要約
キタネグサレセンチュウ、ミナミネグサレセンチュウ及びチャネグサレセンチュウの3種が、種特異的な塩基配列に基づいて設計したプライマーを用いたPCRによって、1頭でも迅速に同定できる。
- 担当:北海道農業試験場・生産環境部・線虫研究室
- 連絡先:011-857-9247
- 部会名:生産環境
- 専門:作物虫害
- 分類:研究
背景・ねらい
ネグサレセンチュウは、わが国では20種以上確認されており、農業上の重要種を多数含んでいる。これらの種の識別はきわめて微細な形態的特徴によって行われており、同定には多大な労力と熟練を要する。そのため、より迅速かつ簡便な同定法の開発が求められている。そこで、18S-26SリボソームRNA遺伝子間に存在するスペーサー領域の塩基配列を決定し、種間における変異を調べ、種特異的な塩基配列に基づいてプライマーを設計し、PCRによる高感度同定法を開発する。
成果の内容・特徴
- キタネグサレセンチュウ(Pratylenchuspenetrans)、ミナミネグサレセンチュウ(P.coffeae)、チャネグサレセンチュウ(P.loosi)について、18S-26SリボソームRNA遺伝子間に存在するスペーサー領域の配列を比較したところ、その配列に種特異性が見いだされた。
- 各々の種の特異的な配列よりプライマーを設計し、ネグサレセンチュウ7種30地域個体群について、PCRを行ったところ、標的線虫のみから特異的なバンドが得られた。作製したプライマーは、クルミネグサレセンチュウ(P.vulnus)、モロコシネグサレセンチュウ(P.zeae)、ノコギリネグサレセンチュウ(P.crenatus)、ブラキュラスネグサレセンチュウ(P.brachyurus)には反応せず、種特異性はきわめて高い(図1)、(図2)。
- これらのプライマーを用いたPCRによって、雌雄成虫及び幼虫の全ステージにおいて、1頭でも十分に種特異的検出が可能である (図3)。
成果の活用面・留意点
具体的データ



その他
- 研究課題名:ネグサレセンチュウ類の種間・種内における生化学的特性の解明
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成9年度(平成8年~平成11年)
- 研究担当者:植原健人、串田篤彦、百田洋二
- 発表論文等:Identification of Pratylenchus using specific primer sets for PCR based on the ribosomal intergenic sequeces, Jpn J.Nematol.(投稿中)