水稲乾田直播栽培の目標均平度とレーザー均平機の作業法

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要約

寒地の水稲乾田直播栽培では良好な苗立ちを確保するために圃場の高低を標準偏差で1.2cm以内にする必要がある。レーザー均平機の均平作業モデルにより、所要の均平度が得られるまでの作業行程数や作業時間を推定できる。

  • 担当:北海道農業試験場・総合研究部・総合研究第1チーム
  • 連絡先:011-857-9300
  • 部会名:011-857-9300
  • 専門:作業
  • 対象:稲類
  • 分類:指導

背景・ねらい

寒地の水稲乾田直播栽培においては発芽・苗立ちの安定、斉一性の確保が重要であり、この方策として圃場の均平化が不可欠となっている。均平作業を高精度かつ高能率に行うためにレーザー均平機(東北農試試作)が開発され、これが市販化され営農に導入されている(図1)。しかし、乾田直播栽培に必要な均平度(標準偏差)や効率的な均平作業方法については十分に確立されていない。そこで、目標均平度、レーザー均平機の作業性能、さらには目標均平度を得るための均平作業の推定について検討する。

成果の内容・特徴

  • 乾田直播栽培では最高位から5cm以上の低位部で苗立ち数が減少する (図2) 。圃場の高低を標準偏差で1.2cm(最大高低差6cm、高低差5cm以内の面積割合96%)以内にすることにより苗立ち総数の減少を3%以内にすることができる (表1) 。
  • レーザー均平機を用いて圃場の長辺および短辺方向にそれぞれ1回ずつ格子状に地ならしする縦横走行方式により作業を行った場合、均平作業前に標準偏差 1.9cm、最大高低差9.0cmの圃場を10a当たり11.1分の作業能率で標準偏差1.2cm、最大高低差5.8cmに平準化でき、目標均平度を達成できる (図3 ~ 4 )。
  • 均平作業モデルは、圃場の高低が正規分布する水田を縦横走行方式により1回の均平作業を行った後の均平度を予測する。このモデルにより、均平作業前の最大高低差から目標均平度が得られるまでの作業行程数および作業時間を推定できる (図5) 。

成果の活用面・留意点

  • 乾田直播栽培の苗立ちの安定化、均平作業の効率化に役立つ。さらに他の栽培様式における均平作業の資料となる。
  • 圃場の均平度はメッシュ調査により求める。調査ができない場合は最大高低差で評価する
  • 高低分布が偏ったり一定の傾斜のある圃場では正規化しないことから均平作業モデルを適用できない。高低分布に応じた作業方法を検討する必要がある。
  • [平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分] 課題名:水稲乾田直播におけるレーザー均平機の作業性能と均平効果(指導参考)

具体的データ

図1 レーザー均平機の概略図

図2 水深と乾田直播水稲の苗立ち

表1 圃場の均平度と苗立ち総数

図3 均平作業前の圃場の高低

図4 均平作業後の圃場の高低

図5 均平作業モデルによる作業推定

その他

  • 研究課題名:寒地における大規模乾田播種早期湛水生産技術システムの実証
  • 予算区分 :実用化促進(地域総合)
  • 研究期間 :平成10年度(平成8~11年)
  • 発表論文等:けん引型レーザ均平機の排土板高さ制御特性,農業機械学会北海道支部会報,39巻,35~ 39,1999