越冬性に優れるメドウフェスク新品種系統「北海12号」

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要約

メドウフェスク「北海12号」は早生に属し、越冬性、混播適性、収量性及び耐倒伏性に優れる系統で、北海道全域及び本州中部以北の高冷地に適応し、採草及び放牧に利用できる。

  • 担当:北海道農業試験場・草地部・イネ科牧草育種研究室
  • 連絡先:011-857-9273
  • 部会名:畜産・草地(草地)
  • 専門:育種
  • 対象:牧草類
  • 分類:普及

背景・ねらい

現在、メドウフェスクは道東を主体に放牧用草種として期待され、高度耐冬性品種が求められている。そこで 、越冬性、混播適性、収量性の改良を主な目標に、寒地・寒冷地向き品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 8栄養系の組合せによる合成品種法で育成した。これら8栄養系の来歴は日高エコタイプ、Leto、Salten、 Tammistoからそれぞれ1ずつ、Borisから4つである。
  • 越冬性及び早春草勢はトモサカエより優れる( 表1 )。
  • 雪腐大粒菌核病抵抗性はトモサカエ並みで「中」、耐寒性はトモサカエ並みで「やや強」、耐凍性はトモサカ エより優れ、耐雪性は「極強」でトモサカエより優れる( 表1 )。
  • 少回刈の収量性は、道東及び本州中部以北の高冷地でトモサカエより多収で、全場所平均でやや多収である( 表2 )。
  • 多回刈の収量性は道央地域でトモサカエより多収で、道東地域で同程度で、総合的にみて多回刈適性に優れる( 表3 )。
  • トモサカエよりも適正なシロクローバ率を維持し、混播適性に優れる( 表1 )。
  • 放牧前草量はトモサカエよりやや少ない。採食程度はトモサカエと同程度である。4年目晩秋におけるメドウフ ェスクの被度はトモサカエより高く、シロクローバおよび雑草の侵入割合は低い。総合的にみて放牧適性は同 程度である( 表1 )。
  • 永続性はトモサカエと同程度である( 表1 )。
  • 出穂期はトモサカエより2日遅い早生に属する( 表1 )。
  • 耐倒伏性はトモサカエよりやや強い( 表1 )。
  • 耐倒伏性はトモサカエよりやや強い( 表1 )。
  • エンドファイト感染率は74%と高いが、家畜毒性に係わるエルゴバリン、ロリトレムBは検出限界以下である( 表1 )。
  • 飼料成分(CP、ADF、NDF含有率)はトモサカエと同程度である( 表1 )。
  • 採種性はトモサカエよりやや劣る( 表1 )

成果の活用面・留意点

  • 普及対象地域は北海道全域および本州中部以北の高冷地。普及見込み面積は5,000ha。将来的にはトモサカエに 置き換える。
  • 採草及び放牧に利用できる。道東の冬枯れの著しい所では、秋季の強度な放牧はさける。
  • [平成10年度北海道農業試験会議における課題名及び区分] 課題名:メドウフェスク新品種候補系統「北海12号」(普及奨励)

具体的データ

表1 北海12号の特性

表2 北海12号の少回刈の収量性(トモサカエを100とした乾物収量比)

表3 北海12号の多回刈の収量性(トモサカエを100とした乾物収量比)

その他

  • 研究課題名:メドウフェスクの高品質・放牧向・環境耐性品種の育成
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成10年度(平成7~20年)