長期積雪の初日、終日、日数のメッシュ気候図

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要約

北海道石狩・空知管内における長期積雪(根雪)の日数、長期積雪の初日、長期積雪の終日の平均、再現期間値を求めるとともに、約1km2を単位とするメッシュ気候図を開発した。

  • 担当:北海道農業試験場・生産環境部・気象資源評価研究室
  • 連絡先:011-857-9234
  • 部会名:生産環境
  • 専門:農業気象
  • 対象:
  • 分類:行政

背景・ねらい

寒地の北海道では、春播小麦を根雪前に播種する栽培方法を導入した水田輪作体系が、寒地水田の有効な利用法と期待されているが、積雪がしばしば作付け等の農作業や生育・収量を大きく左右する。そこで、高収益水田輪作体系の確立に資するため、約1km2単位の積雪メッシュ気候値を明らかにし、積雪の変動分布からみた栽培立地帯の解明の基礎資料とする。

成果の内容・特徴

  • 積雪メッシュ気候図の開発方法を図1のフロー図に示す。なお、積雪メッシュ気候図の作成領域はほぼ石狩・空知管内(約1万平方キロメートル)である。なお、積雪は1966~1993年までの気象庁観測データを用いた。
  • 長期積雪の変動(再現期間)石狩・空知管内24観測地点の長期積雪の日数、長期積雪の初日、長期積雪の終日の3,5,10,20,30年の再現期間値を求めた。再現期間値には上側の確率(長期積雪が長くなる、遅くなる確率)と下側の確率(長期積雪が短くなる、早くなる確率)の値が含まれる(表1)。
  • 長期積雪の推定モデル石狩・空知を対象域とする長期積雪の日数、長期積雪の初日、長期積雪の終日の平均値及び5,10,20の上側の確率、下側の確率の再現期間値(20種類)の推定モデルを開発した。
  • 長期積雪のメッシュ気候図国土数値情報から各地理・地形因子の値を算出、各モデルに入力することにより、約1km2を単位とする長期積雪の変動を表すメッシュ気候図を開発した(図2)。再現期間値の気候図は確率的な出現率(危険率ないし安全率)を表しており、積雪から見た気候立地や農作業を検討する上で有益な情報と考える。

成果の活用面・留意点

  • 推定モデルは石狩・空知管内を対象域としており、他地域を対象域とする場合は図1の手順に従って新たにモデルを開発する必要がある。
  • 観測地点の多くが低い標高に位置しているため、300m近い標高を超える地域の推定値の信頼性は劣る。

具体的データ

表1 主な観測地点の長期積雪の日数の平均値と再現期間値の平均からの差の例

図2 3月1日から数えた長期積雪の平均終日のメッシュ気候図の例

図1 石狩・空知の積雪メッシュ気候図作成の手順

その他

  • 研究課題名:根雪前播種小麦の積雪メッシュ気候による栽培立地条件の解析
  • 予算区分 :新用途畑作
  • 研究期間 :平成10年度(平成8~10年)
  • 発表論文等:石狩・空知における長期積雪日数の変動解析,日本農業気象学会北海道支部大会(講要),.1996.
    Weibull分布を用いた積雪の長期継続期間とその初日,終日について,農業気象,54(1),63-69,1998.
    Meteorological condition under snow lying and snow cover period in Japan.International Workshop on Plant-Microbe Interactions at Low temperature Under Snow.1997.
    石狩・空知に於ける長期積雪の分布図の作成,日本農業気象学会1998年全国大会,1998.他