直播キャベツにおける窒素の作条全量基肥技術
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
直播キャベツは、速効性窒素4kg/10aと緩効性被覆窒素8kg/10aを作条全量基肥施用することによって、移植において慣行の速効性窒素22kg/10aの半量ずつを全面に分施する場合と同等の生育・収量を得る。本施肥法の窒素利用率は約90%である。
- 担当:北海道農業試験場・総合研究部・総合研究2チーム
- 連絡先:011-857-9284
- 部会名:総合研究
- 専門:肥料
- 対象:葉茎菜類
- 分類:研究
背景・ねらい
北海道の大規模畑作でも、高収益のための省力・低コストの土地利用型野菜の導入が求められている。その対応の一つである直播キャベツは、初期生育が移植栽培の苗と同等の状態になるまでに約1ヶ月を要し、この間の根系の生育が緩慢なため、移植栽培において速効性肥料を全面に分施するのとは異なる施肥法が必要である。そのため、直播キャベツにおける施肥の省力化と施肥窒素利用率向上をねらいに、速効性窒素と緩効性被覆窒素肥料を用いた作条全量基肥施用法を確立する。
成果の内容・特徴
- 直播キャベツの作条全量基肥施用において(図1)、速効性窒素4kg/10aに緩効性窒素を増肥するほど生育量は増加し、速効性窒素11kg/10aずつの基肥と追肥の全面分施を上回るが、緩効性窒素8kg/10a以上の増肥で生育増加率は小さくなる(表1)。
- 速効性窒素4kg/10aと緩効性窒素8kg/10aの作条全量基肥施用で速効性窒素22kg/10aの全面分施とほぼ同等の収量、出荷可能率を得ることができる(表2)。
- 本施肥法による施肥窒素利用率は、緩効性窒素4kg/10aの施用まではほぼ100%であるが、それ以上では増肥するほど低下する(表3)。
- 速効性窒素4kg/10aと緩効性窒素8kg/10aの作条全量基肥施用の窒素利用率87%は、速効性窒素22kg/10aの全面分施の約2倍と高く、環境への窒素負荷を大幅に軽減できる(表3)。
成果の活用面・留意点
- 直播キャベツにおいて、速効性窒素4kg/10aと緩効性窒素8kg/10aを組み合わせた全量を基肥とした作条施肥が、省力的かつ環境保全的な施肥指標として活用できる。
- 速効性窒素と緩効性窒素の施肥の量や温度との関係については、さらに検討する必要がある。
- 試験結果は、窒素肥沃度の低い褐色火山性土で、ボール系品種‘アーリーボール’を6月に播種して得られたものである。
- りん酸、カリの施肥は北海道施肥標準に準じて行う。
具体的データ





その他
- 研究課題名:畑輪作における高精度雑草防除技術の開発
- 予算区分:実用化促進(地域総合)
- 研究期間:平成9~12年(平成11年)
- 研究担当者:石川枝津子・奥野林太郎・竹中重仁・山縣真人
- 発表論文等:畑作地帯に導入されたキャベツ畑の雑草管理, 雑草研究43別号, 248-249,1998.
直播キャベツ畑のスカシタゴボウについて, 雑草研究44別号, 292-293, 1999.
一圃場由来のスカシタゴボウの出芽特性における変異, 雑草研究44, 245-248, 1999.
スカシタゴボウの発芽への変温の影響, 育種・作物学会北海道談話会報40号, 71-72, 1999.