作物認識による局所農薬散布システム

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要約

減農薬を目的に開発した局所散布システムはビデオカメラで作物を認識して、作物の本体あるいは株間に散布制御することができる。プロトタイプの局所散布機は約0.3m/sの走行速度で作物認識・散布制御が可能である。

  • 担当:北海道農業試験場・畑作研究センター・生産技術研究チーム、作物開発部・農業機械研
  • 連絡先:011-857-9721
  • 部会名:総合研究(農業物理)
  • 専門:作業
  • 対象:葉茎菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

大規模畑作農業で省力的な作業体系、環境保全の側面から農薬使用量の低減が求められている。特に大規模畑作地帯で野菜栽培を行う場合、均質な農薬散布が過剰に農薬を使用する一要因となっている。本システムは、ビデオカメラで作物位置を判別し、株もしくは株間のみへ局所散布制御を行うシステムであり、これによる減農薬の実現を目的とする。

成果の内容・特徴

  • 試作したシステムは、車両前方に装着されているビデオカメラでキャベツ苗等の作物を撮影し、作物の画像情報から作物位置を認識して、株もしくは株間に農薬を散布できる(図1)。
  • 画像処理用コンピュータ、散布制御用コンピュータ間のデータ転送はLAN(Local Area Network)を介して行う。画像処理と散布制御を分離したことにより対象作物、散布方式の変更によるシステムの調整、改良が容易である。
  • 散布制御コンピュータは、LANを介して送られてくる作物の撮影時刻、撮影時点の作物の位置データ及び後車軸で測定した速度から作物と散布ノズルの相対的な位置関係を計算し作物の位置を記憶し、この位置情報に基づき電磁バルブを動作させ株間若しくは作物に対し散布を行う。また、同じ作物の位置情報は常に新しい情報で更新される(図2)。
  • 曇天時に株間35cmで本葉3~4葉期のキャベツについて速度約0.3m/sで行った株間散布実験の結果、株間の散布量に比較して作物位置の散布量は明らかに低下する(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 試作機では晴天で日射が強い場合に作物の誤認識が生じやすい。
  • 作物位置に対応した農薬の散布制御が可能となるため、殺虫剤、殺菌剤、局所施肥等への利用が考えられる。

具体的データ

図1.試験風景

 

図2.散布制御システムの概要

 

図3.畦方向の散布量分布

 

その他

  • 研究課題名:相対位置情報を活用した局所農薬散布制御システムの開発
  • 予算区分:プロジェクト研究(軽労化農業)
  • 研究期間:平成11年度(平成9~11年)
  • 研究担当者:奥野林太郎、八谷 満、山縣真人
  • 発表論文等:なし