スラリの作溝施用ができるサブソイラ

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要約

作物の根圏環境を改善するため試作したトラクタに直装する追従式サブソイラは、耕盤破砕のみならず高濃度スラリの作溝施用にも使用できる。

  • 担当:北海道農業試験場・総合研究部・総合研究第3チーム
  • 連絡先:0155-62-9286
  • 部会名:総合研究(農業物理)
  • 専門:作業
  • 対象:農業機械
  • 分類:研究

背景・ねらい

大規模なフリーストール牛舎等から排出される高濃度の液状ふん尿(スラリ)は、水分調整材の不足等から堆肥化が難しい。一方、飼料生産圃場では大型機械の車輪踏圧に起因した土壌堅密化による生産性の低下が懸念されている。環境に配慮してスラリを有用に利用する視点から、土中施用による地力向上とともに、踏圧層を破砕して排水性を高め、作物の根圏環境を改善する低コストな土層改良技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • 開発したプロトタイプのサブソイラ(2条、条間120~180cm)は、バキュームカをけん引し、トラクタに追従しながら高濃度スラリを作溝施用する(図1)。シャンクに張り付けた樹脂板で土壌をかき上げて施工断面を拡大するので(図2)、チゼル深27cm、条間120cmで1条当たり12kg/mのスラリを注入できる(最大施用量10t/10a)。
  • 本機を耕盤破砕に使用する場合は、中間ウイングを有するシャンク取付けピンの位置を変えて60cmまで延長し、単体で使用する。施工条から側方約20cmの位置まで、土壌破砕による表層の排水性改善効果がある(図3)。シャンク樹脂板の幅は、地表面の露出土塊が鎮圧ローラ1行程で均平可能な4cmが適当である。
  • バキュームカ車輪(1軸2輪)に試作したゴムクローラを装着すると(写真1)、接地圧が車輪の約1/4に減少してスラリの注入溝上を走行することが可能となり、作業を行いながら旋回できる。さらに、牧草の踏圧による損傷が軽減する。

成果の活用面・留意点

  • アルファルファの播種床準備、経年化した草地および飼料畑の土層改良に適用できる。なお、スラリ作溝施用と耕盤破砕は交互に施工することが望ましい。
  • スラリの施用量、土壌破砕の施工深さ、適応トラクタの選定等については土壌条件を考慮する。

具体的データ

図1.試作したサブソイラ

 

図2.スラリ作溝施用と耕盤破砕を組み合わせた土層改良の概念図

 

図3.耕盤破砕後の地表面浸透性

 

写真.スラリ作溝施用の作業状況

その他

  • 研究課題名:土地利用型畜産における家畜排泄物の処理・利用方式の開発と現地実証
  • 予算区分:総合的開発〔家畜排泄物〕
  • 研究期間:平成9~11年度
  • 研究担当者:糸川信弘、新良力也、池田哲也
  • 発表論文等:なし