そうか病抵抗性ばれいしょ新品種候補系統「北海83号」

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要約

ばれいしょ「北海83号」は、強度のそうか病抵抗性を示し、そうか病発生地帯でも栽培可能な生食用ばれいしょである。いもは楕円体でラセット皮を有し、粒揃いが良い。目が浅く、変色が少ないので一次加工に適する。長休眠で貯蔵性が良く、長期供給ができる。

  • 担当:北海道農業試験場・畑作研究センター・ばれいしょ育種研究室
  • 連絡先:0155-62-9272
  • 部会名:作物 専門 育種
  • 対象:いも類 分類:普及

背景・ねらい

ばれいしょにクレーター状の病斑を形成するそうか病は、塊茎の外観品質を劣化させて市場価値を大きく下げることから、生食および加工食品用の生産阻害要因となっている。近年、そうか病発生地帯は拡大しつつあり、抵抗性品種を中心とする総合的な対策法の確立は緊急を要している。さらに、ガット・ウルグアイラウンド合意に伴うでん粉の関税化等をひかえ、加工食品等への用途転換を迫られており、そうか病発生割合の高いでん粉原料用地帯で栽培可能な強度の抵抗性を有する品種開発が求められている。

成果の内容・特徴

  • 母親のEarly Gem由来のそうか病抵抗性を強度に示す(表1)。
  • 熟期は中早生で、収量は「男爵薯」よりもやや多収である(表2)。
  • アメリカの主要品種Russet Burbankの孫であり、同様なラセット皮であるためこれまでの日本品種とは外観が異なる。
  • 「男爵薯」並もしくは優れる調理特性に加え、目が浅いので剥皮時のトリミング数が少なく、生いもの剥皮後および加熱調理後の変色は少なく、業務向けなどの一次加工に適する(表3、4)。
  • いもの休眠が長いので、長期貯蔵による利用が可能である(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 休眠期間が長いため通常の種いも貯蔵では萌芽および初期生育が遅れやすいので、下記のような扱いが必要である。
    1)休眠期間を短くするために、収穫後D型ハウスなどで仮貯蔵し、
       凍結のおそれの生じる10月中旬頃までに本貯蔵とする。
    2)休眠明けを早めるために、3月上旬から10°C以上20°Cを上限として貯蔵温度を高くし、
       また、早めの種いも切断を行う。
  • ジャガイモシストセンチュウ汚染地域の栽培には、抵抗性を有しないので不適である。
  • 裂開することがあるので、過剰な施肥など急激な肥大を促す栽培管理を行わない。

具体的データ

表1.そうか病抵抗性検定結果

 

表2.栽培および収量特性

 

表3.塊茎特性

 

表4.調理特性

その他

  • 研究課題名:ばれいしょ優良品種育成、ばれいしょ高品質優良品種の育成
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成11年度(平成3年から11年)
  • 研究担当者:森 元幸、小林 晃、高田明子、津田昌吾、梅村芳樹、中尾 敬、吉田 勉、米田 勉、木村鉄也
  • 発表論文等:ジャガイモそうか病抵抗性・耐病性品種の選抜、
                    北海道農業フロンティア研究会報告書II、P86-91、1999