直播キャベツ畑の発生雑草とその生態
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要約
キャベツの直播栽培では、移植栽培に比較して雑草の発生量が多く、特に実生のスカシタゴボウの発生が著しい。スカシタゴボウには、土壌処理除草剤(トリフルラリン乳剤)の効果は劣るが、初期生育が緩慢であるという生態的特性を示す。
- 担当:北海道農業試験場・畑作研究センター・環境制御研究チーム
- 連絡先:0155-62-9276
- 部会名:作物
- 専門:雑草
- 対象:雑草類
- 分類:研究
背景・ねらい
大規模畑作地帯に土地利用型野菜のひとつであるキャベツの直播栽培を導入するには、畑雑草の省力的防除技術の開発が必要である。そこで、直播キャベツ畑における防除対象雑草の生態的特性を明らかにし、それらの適切な防除法を確立する。
成果の内容・特徴
- キャベツの直播栽培では、キャベツと雑草が同時に出芽し、キャベツ苗による雑草の抑制効果が小さいため、移植栽培に比較して雑草の発生量が多い。特に、実生のアブラナ科スカシタゴボウ(Rorippa islandica)の発生が著しい(図1)。
- 土壌処理除草剤のトリフルラリン乳剤によってタデ類などの雑草種の防除が可能であったが、スカシタゴボウには効果が劣る。(表1)
- スカシタゴボウの発芽には変温条件が必要である。(表2)。
- スカシタゴボウは他の雑草種に比較して初期生育が緩慢なため(表3)、キャベツ播種時に発生した個体に対しては、他の草種を土壌処理剤で防除した後の機械除草が可能である。
成果の活用面・留意点
- 直播キャベツ畑の雑草対策として利用できる。
- スカシタゴボウの発生予測と防除に利用できる。
- 北海道十勝地方の乾性火山灰土壌でのデータである。
具体的データ



その他
- 研究課題名:畑輪作における高精度雑草防除技術の開発
- 予算区分:実用化促進(地域総合)
- 研究期間:平成9~12年(平成11年)
- 研究担当者:石川枝津子・奥野林太郎・竹中重仁・山縣真人
- 発表論文等:
畑作地帯に導入されたキャベツ畑の雑草管理, 雑草研究43別号, 248-249, 1998.
直播キャベツ畑のスカシタゴボウについて, 雑草研究44別号, 292-293, 1999.
一圃場由来のスカシタゴボウの出芽特性における変異, 雑草研究44, 245-248, 1999.