泌乳牛における周産期の血液成分濃度の推移と分娩後初回排卵日数との関係
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要約
分娩後の初回排卵日数は、分娩後にエネルギー充足を反映する血液成分が安定濃度に達した日数、および初回排卵前のフリーコレステロール濃度との間にそれぞれ正の相関関係がある。
- 担当:北海道農業試験場・畜産部・生理・繁殖研究室
- 連絡先:011-857-9268
- 部会名:畜産・草地(畜産)
- 専門:繁殖
- 対象:家畜類
- 分類:研究
背景・ねらい
乳牛では、分娩後に欠乏エネルギー量が最大になるまでの日数と、分娩から初回排卵までの日数の間に正の相関があるとされる。一方、血液成分濃度は周産期独特の増加や減少を経た後に、一定範囲で安定して推移する。そこで分娩後初回排卵日数に影響する血液成分を明らかにするために、血液成分が安定濃度に達した日数と分娩後初回排卵日数の関係について調べた。
成果の内容・特徴
- 直腸検査等から、供試牛の分娩後初回排卵日数は25.6±8.7日である。初回排卵前と初回排卵後の間では、各代謝産物の平均濃度に差がある(表1)。
- 図1に示したように、各個体の各血液成分について、初回排卵後2週間(初回排卵後)の濃度の平均±2標準偏差の範囲(95%信頼区間)、およびこの範囲内に安定して推移をする最初の日(図1の安定日)を算出し、分娩から安定日までの日数(図1のX、表2)を算出した。相関分析をしたところ、初回排卵日数は、エネルギー充足状態を反映する血液成分(グルコース、ケトン体、FFAなど)の分娩日から安定日までの日数との間に有意で正の相関を示した(表2)。一方、初回排卵日数とタンパク充足状態を反映する血液成分(UN)の分娩日から安定日までの日数との間の関係は有意ではない。
- 初回排卵日数は、分娩前2週間から初回排卵日までの期間のフリーコレステロールの平均濃度との間に、有意で正の相関関係にある(r=0.57、 P<0.05)。
成果の活用面・留意点
供試牛は北海道農業試験場で一般管理法により飼養されており、分娩時にBody Condition Scoreが3.0から3.5で正常分娩をした経産牛である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:乳牛の低栄養時の性機能中枢の抑制解除技術の開発
- 予算区分:ゲノム関係研究(形態・生理)
- 研究期間:平成11年度(平成10~12年)
- 研究担当者:角川博哉、山田豊
- 発表論文等:
Relationship between days to postpartum first ovulation and days to reaching steady range of metabolic concentrations in dairy cows.(1999) J. Reprod. Dev. 45: 331-336.