気象衛星の赤外データを用いた日積算全天日射量分布図

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要約

気象衛星観測月報CD-ROMの赤外データを用いた日射量推定の手法を適用することにより、暖候期の北海道地域を対象とした、約5kmメッシュでの日積算全天日射量分布マップが作成できる。

  • 担当:北海道農業試験場・生産環境部・気象資源評価研究室
  • 連絡先:011-857-9234
  • 部会名:生産環境
  • 専門:農業気象
  • 分類:研究

背景・ねらい

作物生育モデルなどを構築する上で、日射量は積算気温等とならぶ重要な基本量であるが、アメダスでは日射量観測を行っていない。入手が容易なCD-ROMデータを用い、気象台・測候所で観測されている全天日射量と静止気象衛星の赤外データを組み合わせて、任意の地点の日積算全天日射量を推定し、作物生育期間を対象とした日積算全天日射量分布マップの作成を行う。

成果の内容・特徴

  • 気象庁気象衛星観測月報CD-ROMの日本付近切り出し画像の赤外データを用いて、地上観測点直上の昼間毎時(06時から18時)の黒体放射温度に12時を中心とした重み付け平均をすると、日積算全天日射量の実測値との間に良い対応が見られる。
  • 気象庁月報CD-ROMによる全天日射量の地上観測値を参照して、衛星から求めた全天日射量の推定値を観測点毎に日々補正することにより、地上データが得られない地点の全天日射量が、衛星データから高精度で推定できる。(図1)
  • 北海道の暖候期(5月から10月)における日射量の大きな季節変化を考慮し、日積算日射量の大気上端での理論値と地表面での値との比を指標とすることにより、日射量の推定精度を向上させることができる。(図1)
  • 地上観測点毎の補正項を距離に応じて内分することにより、0.06゚メッシュ(北海道付近で南北約6.5km、東西約4.5km)の日積算全天日射量分布マップが作成できる。(図2)

成果の活用面・留意点

  • 検証には気象衛星ひまわり(GMS)のデータを用いた。CD-ROM以外の、直接受信によるデータ等を利用することも可能である。
  • 寒候期(積雪がある期間)や水面上の日積算全天日射量の推定には、更なる検討が必要である。

具体的データ

図1.衛生データから求めた函館の昼間平均黒体放射温度の未補正値(×)及び室蘭の観測地で補正した放射温度の推定値(▲)の毎日の変化と、函館の日射量実測値から求めた大気上端と地表面の日積算全天日射量の比(○)との対応。

 

図2.1996年9月15日の北海道付近の日積算全天日射量分布マップと札幌周辺の拡大図。

 

その他

  • 研究課題名:気象衛星データを利用した地表面放射量の推定
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成11年度(平成8~11年度)
  • 研究担当者:城岡竜一・廣田知良・鮫島良次・山田一茂
  • 発表論文等:
    RemoTely sensed estimates of solar radiation in the tropics using infrared saTellite imagery, J. Agric. Meteorol. 52, 575-578, 1997. GMS赤外データによる北海道地域での積算日射量の評価、日本農業気象学会北海道支部1997年大会講演要旨、20-21、1997。