畑地型酪農経営におけるアルファルファの導入条件

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要約

高品質飼料である単播アルファルファを、畑地型酪農経営に導入するための条件は、アルファルファの利用単収(乾物)は750kg/10a以上、乾物あたりCP(粗蛋白質)割合は15%以上、生産費用はチモシーの1.2倍以内である。

  • 担当:北海道農業試験場・総合研究部・動向解析研究室
  • 連絡先:011-857-9308
  • 部会名:総合研究(農業経営)
  • 専門:経営
  • 分類:研究

背景・ねらい

畑地型酪農経営では安定的な収益構造を実現するために、自給飼料生産力の増大が求められている。その方策の1つとして、高品質飼料である単播アルファルファの導入があり、そのための技術開発が進められている。この技術が酪農経営に導入されるための条件を、畑地型酪農経営の農業所得最大化を目標とする線形計画法を援用した技術の事前評価により明らかにする。計画モデルは、十勝中央部でアルファルファを導入している酪農経営の実績などに基づき構築し、アルファルファの作付面積10haを導入の目安とする。

成果の内容・特徴

  • 畑地型酪農経営にアルファルファが10ha程度以上導入されるためには、計画モデルで設定した基準(表1~3)に対して、アルファルファサイレージの10aあたり利用収量は10%減の約1,900kg(乾物では750kg)以上、CP(粗蛋白質)割合は30%減の6.2%(乾物では約15%)以上、生産費用はチモシーの生産費に較べて20%増(1.2倍)以内が条件になる(表4、図1)。
  • 個体乳量を20%増の10,614kg、アルファルファの生産費用を10%増の16.5千円/10aにした場合、アルファルファのCP割合は7.0%(乾物では約18%)以上が条件になる。
  • 飼料自給率(CP換算)は総耕地面積やアルファルファ単収が増加するほど、個体乳量が減少するほど高まるが、アルファルファのCP割合には影響されない(表4、図2)。設定した基準に対して、アルファルファ単収ならびに総耕地面積では10%増、個体乳量では10%減の場合に、飼料自給率(CP換算)70%がほぼ達成される。

成果の活用面・留意点

  • この計画モデルの適用範囲は、耕地面積40ha・経産牛飼養頭数50頭規模の北海道十勝中央部の畑地型酪農経営を想定している。
  • 導入条件の数値は設定した基準のなかの一つ一つを示している。なお、諸係数の前提条件が変われば導入条件は異なってくる。とりわけ購入飼料価格の変動は、導入条件に影響を与えることに留意する必要がある。
  • 飼料自給率に関わる導入条件は「酪肉計画」等の検討のための参考値である。

具体的データ

表1~表3.

 

表4.技術係数の変化とアルファルファ利用

 

図1.生産費用の増減とアルファルファ利用

 

図2.総耕地面積の増減とアルファルファ利用

その他

  • 研究課題名:高品質飼料生産の技術開発ニーズ及び導入可能性の解明
  • 予算区分 :総合研究[地域総合]
  • 研究期間 :平成12年度(平成10~12年)
  • 研究担当者:鵜川洋樹・相原克磨・原(福與)珠里
  • 発表論文等:畑地型酪農の生産動向と経営構造,北海道農試農業経営研究,(81),2000。