高泌乳牛の分娩直後における窒素・ミネラル出納
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要約
高泌乳牛は分娩直後に乳量が30kg/日以上に達するため、分娩後1週間における体重の減少が非常に著しい。また、乳中への窒素・ミネラル分泌量の増加により、窒素、カルシウム、リン、カリウム出納が負になることを明らかにした。
- 担当:北海道農業試験場・畜産部・飼料評価研究室
- 連絡先:011-857-9236
- 部会名:畜産・草地(畜産)
- 専門:動物栄養
- 対象:家畜類
- 分類:研究
背景・ねらい
高泌乳牛では分娩直後から泌乳最盛期にかけて乳量の増加が顕著なものの、乾物摂取量の増加が追いつかないためこの時期に体重が急減する。しかし、高泌乳牛の分娩直後における窒素・ミネラル出納についてはほとんど調べられていない。そこで、高泌乳牛の分娩前後に出納試験を実施し、分娩直後における窒素・ミネラル出納を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 高泌乳牛4頭をアルファルファサイレージとグラスサイレージを主体に給与(分娩後の粗飼料と濃厚飼料の給与比率は1:1で、粗飼料はそれぞれアルファルファサイレージとオーチャードグラスサイレージを利用)すると、乳量はどちらも分娩4日後に30kg/日を超えているのに対して、乾物摂取量は分娩直前にやや減少し、分娩4日後でも14kg/日と少量である(図1)。
- 高泌乳牛では分娩直後の乳量の急激な増加に対して、乾物摂取量の増加が遅いため、分娩後2~4日目における体重減少が非常に著しい(表1)。
- 乳牛の分娩前の窒素・ミネラル出納は正であるが、分娩後には乳中へのそれらの分泌量が増加するため、乳牛の窒素、カルシウム、リン、カリウム出納はアルファルファサイレージ、グラスサイレージ給与のどちらも負になることを数値で示した(表1)。
成果の活用面・留意点
- 高泌乳牛の栄養管理に関する基礎データとして活用できる。
具体的データ


その他
- 研究課題名:周産期におけるカルシウム及びリン代謝機構の解明と利用技術の開発
- 予算区分 :畜産対応研究(繁殖技術)
- 研究期間 :平成10~12年度
- 研究担当者:久米新一,野中和久,大下友子
- 発表論文等:Effect of alfalfa silage on mineral metabolism in periparturient cows.
Asian-Aus. J. Anim. Sci. 13(Suppl.) A:102. 2000.