耐病性および春の生育に優れるオーチャードグラス新品種候補「北海26号」

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

オーチャードグラス「北海26号」は中生の晩に属し、早春の草勢に優れ、雪腐病、葉枯れ性病害に耐病性の多収な系統で、特に1番草の収量性に優れる。北海道および東北北部に適応し、採草および放牧に利用できる。

  • 担当:北海道農業試験場・草地部・イネ科牧草育種研究室
  • 連絡先:011-857-9273
  • 部会名:畜産・草地(草地)
  • 専門:育種
  • 対象:牧草類
  • 分類:普及

背景・ねらい

自給飼料の増産を図るにはチモシー一辺倒ではなく出穂期が早いオーチャードグラスを草地に取り入れることが必要である。しかし、既存品種では冬季の雪腐病や夏から秋にかけての葉枯れ性病害に罹病しやすいなどの欠点がみられる。そこで、寒地・寒冷地における耐病性,多収性、春の草勢などに優れる「北海26号」を育成した。

成果の内容・特徴

  • 7栄養系の組合わせによる合成品種である。
  • 出穂期は全場平均で6月1日で「オカミドリ」と同じで,“中生の晩”に属する(表1)。
  • 越冬性は「オカミドリ」と同程度で,春の草勢はやや優れ、ともに“良”である(表1)。雪腐大粒菌核病抵抗性は「オカミドリ」より優れ“強”,耐寒性は「オカミドリ」と同程度かやや劣り“中~やや弱”である(表1)。以上、越冬性を総合判断すると「オカミドリ」と同程度である。
  • 収量性は「オカミドリ」と同程度かやや優れ(表2)、特に、1番草の収量は「オカミドリ」より多収である(表3)。
  • 多回刈での収量は「オカミドリ」よりやや多収である(表1)。
  • 葉枯れ性病害の罹病程度が少なく,すじ葉枯病,雲形病,黒さび病に「オカミドリ」より耐病性を示し、“やや強”である。
  • 永続性は「オカミドリ」と同程度である(表1)。
  • 混播適性は「オカミドリ」と同程度である(表1)。
  • 耐倒伏性は「オカミドリ」よりやや劣るが、“強”である。
  • 採食程度は「オカミドリ」よりやや低いが,最終放牧後の基底被度は高く、放牧適性は「オカミドリ」と同程度である(表1)。
  • 飼料成分は「オカミドリ」と同程度である(表1)。
  • 採種性は「オカミドリ」と同程度の“良”である(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 普及対象地域は北海道全域および東北北部。普及見込み面積20,000ha。「オカミドリ」に置き換える。原種を家畜改良センター十勝牧場で先行増殖中である。
  • 採草および放牧に利用できる。

平成12年度北海道農業試験会議成績会議における課題名および区分
課題名:オーチャードグラス新品種候補系統「北海26号」(普及奨励)

 

具体的データ

表1.北海26号の特性

 

表2.年次別場所別乾物収量のオカミドリ比

 

表3.各場所における1番草収量のオカミドリ比

 

その他

  • 研究課題名:オーチャードグラスの高品質・多収・環境耐性品種の育成
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成12年度(平成6年~20年)
  • 研究担当者:山田敏彦、眞田康治、高井智之