テンサイ根腐病抵抗性の室内検定法
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要約
迅速、省力、省スペースで周年実施可能なテンサイ根腐病に対する室内抵抗性検定法を開発した。植物体を試験管に播種し人工気象室内で56日間育生し、フスマ培地で培養した根腐病菌を接種することにより、抵抗性強と弱のグループを識別できる。
- キーワード:てんさい、根腐病、室内抵抗性検定法
- 担当:北農研・畑作研究部・環境制御研究チーム
- 連絡先:0155-62-9276
- 区分:北海道農業・生産環境
- 分類:科学・普及
背景・ねらい
てんさいの重要病害である根腐病に対する防除対策は、薬剤防除や耕種的防除だけでは充分といえないため、現在、抵抗性品種の育成が進められている。その際、効率的で簡易な抵抗性検定法の開発が強く求められている。そこで、従来の圃場試験やポット試験による検定法より、迅速、省力、省スペースで周年実施可能な根腐病に対する抵抗性の室内検定法の開発を試みる。
成果の内容・特徴
- 種子を園芸用粒状培土をつめた試験管(径24mm、長さ130mm、底部に径5mmで長さ4mmの排水管付)に播種し、人工気象室内(25℃、16時間日長)で育生する(図1)。育生期間中は、播種3週間後から週に2回1,000倍に希釈したハイポネックス液5-10-5(ハイポネックスジャパン)を液肥として与える。接種源としては、従来の麦粒培地より取り扱いやすいフスマ培地を地際部に2g施用する。
- 上記方法により植物体を育生すると菜根の肥大が観察され、根径が育生期間63日で約9~11mmに達する(図2)。
- 本接種法では、育生期間56日以降の植物体の地下部での被害調査により、抵抗性「強」と「弱」の品種・系統の検定が可能である(図3)。
- 従来の圃場試験やポット試験法と比較すると、本法がもっとも試験に要する時間が短く、省力で、28 x 38cm2のスペースに最大50個体を供試でき、さらに周年実施可能であることから、検定法として優れている(表1)。
成果の活用面・留意点
- 本試験管育苗・接種法を用いることにより、てんさいの根腐病抵抗性品種・系統の育成が加速される。
- 本法は、今までほとんど不明であるてんさいの根腐病に対する抵抗性機作を解明するための実験系としても利用できる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:テンサイ根腐病に対する抵抗性機作の解明及び検定法の開発
- 予算区分:委託プロ(21世紀プロ)
- 研究期間:1999~2001年度
- 研究担当者:竹中重仁、佐山 充