アルファルファ単播草地の生産性及びサイレージ品質と乳牛への給与効果

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要約

アルファルファ単播草地は、造成後4年目まで粗蛋白質含量を約20%、年間乾物収量を800kg/10a以上を維持できる。アルファルファ収穫作業時の車輪踏圧を軽減するため、省力的なロールベール運搬・密封機を開発した。低水分ラップサイレージの飼料成分、消化率、TDNは乾草と同様に評価できる。また、泌乳牛への給与では乾物摂取量及び乳量の増加に効果があり、高品質のアルファルフアサイレージを乾物割合で最大75%程度まで増加させても、高い乳量を維持できる。

  • キーワード:アルファルファ、単播草地、運搬・密封機、低水分サイレージ、品質評価、乳牛、乾物摂取量
  • 担当:北農研・総合研究部・総合研究第3チーム、畜産草地部・上席研究官、家畜生理繁殖研究室、
            家畜管理研究室、飼料評価研究室、草地生産研究室
  • 連絡先:0155-62-9286
  • 区分:総合研究
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

近年の北海道酪農は飼養頭数や泌乳量の増加に伴い、自給飼料から輸入飼料への依存度が高まっている。しかし、飼料に起因した各種の疾病や過剰な家畜排泄物による環境負荷の増大、濃厚飼料多給による生産病の増加等の諸問題が顕在化してきており、土地資源に立脚した低コストで高品質な自給粗飼料の生産が要請されている。北海道農業研究センターで育成されたアルファルファ新品種の寒地適応性、収量性を実証するとともに高品質なアルファルファサイレージを調製し、高泌乳牛に対する分娩前後の給与技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • アルファルファ単播草地は、造成当初の個体密度が1平方メートル当たり約300~350個体あれば、高品質飼料生産を目指した早刈りでも、造成後4年目まで粗蛋白質含量約20%、年間乾物収量を800kg/10a以上に維持できる(表1)。
  • 圃場に放出されたロールベールをリフトアームを用いて3個拾い上げ、圃場外へ搬出した後、密封して順次荷降ろしするロールベール運搬・密封横は、アルファルフア草地の車輪踏圧による再生障害を緩和するのに有効であるとともに省力杓てある(図1).
  • 水分含量20~40%のアルファルフア低水分ラップサイレージの品質は、飼料成分、消化率は水分による差異は少なく、TDN含量は、TDN=97.26-1.034×ADFの推定式から簡易に推定できる。
  • アルファルフアサイレージは多給してもイネ科牧草サイレージと比較し、採食量、乳量の減少は少ない.そのため、単独あるいはコーンサイレージと混合し、乾物割合で75%程度まで増加させても、エネルギー不足なしに高い乳量を維持できる(図2)。
  • .分娩後の乳牛に低水分アルファルフアサイレージを粗濃比1:1の混合飼料として給与すると、イネ科牧革のグラスサイレージと比較して、乾物摂取真の早期増加および乳量増加に効果がある(表2).

成果の活用面・留意点

  • アルファルファの栽培・収穫、サイレージの品質評価や泌乳牛のアルファルファ給与水準の設定に利用できる。
  • アルファルファ品種は、マキワカバ(札幌)、ヒサワカバ(十勝)を使用した。
  • 分娩前にアルファルファサイレージを大量給与すると、分娩後に乳熱発生の危険があるので避ける。

具体的データ

表1.年間収量の推移

図1.ロールベールの運搬作業(上)、密封作業(下)

図2..アルファルファ単独給与時の乾物摂取量と乳量

表2. アルファルファ及びコーンサイレジ混合給与時の乳成分とTDN充足率

その他

  • 研究課題名:土壌凍結地帯におけるアルファルファの安定栽培技術の開発、アルファルファサイレージを
                      基幹とする自給飼料の調製・給与システムの開発
  • 予算区分:交付金プロ(地域総合)
  • 研究期間:1998~2001年度
  • 研究担当者:糸川信弘、高橋 俊、野中和久、押尾秀一、中村正斗、池田哲也、松村哲夫、小川恭男、八木隆徳、
                      三枝俊哉、手島茂樹、久米新一、大下友子、大谷文博、佐藤義和、矢用健一
  • 発表論文等:ホームページ、http://www.naro.affrc.go.jp/harc/index.html
                     (北海道農業研究センター>畑作研究部>総合研究第3チーム)