アルファルファ単播草地を利用した高品質飼料生産

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要約

アルファルファを草丈80cmを目安に収穫することにより、利用4年目まで粗蛋白質含量18%以上の高品質なサイレージが安定して生産できる。また、経営計画モデルによると、アルファルファサイレージの給与量が粗飼料中の40~50%のとき、粗蛋白質自給率が最高で、乳飼比が最低となる。

  • キーワード:アルファルファ、サイレージ、給与、経営計画モデル、技術評価・情報
  • 担当:北農研・総合研究部・総合研究第3チーム、経営管理研究室、動向解析研究室、農村システム研究室、
            畜産草地部・上席研究官、家畜管理研究室、家畜生理繁殖研究室、飼料評価研究室
  • 連絡先:電話0155-62-9286、電子メールikeike@affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・総合研究、共通基盤・総合研究、畜産草地・情報
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

高泌乳牛向け粗飼料としてアルファルファ(AL)乾草の輸入量が増加している。そこで、ALの栽培面積を増やし、飼料自給率の向上を図るため、高栄養AL収穫を目的とした単播草地の栽培・収穫体系を開発するとともに、ALサイレージ給与の経営評価を行う。

成果の内容・特徴

  • ALの草丈80cmを目安にAL単播草地を刈取ることにより、粗蛋白質(CP)含量18%以上の高品質なALサイレージが生産できる(表1)。このための刈取りは、9月中旬までに3回(1番草を着蕾後期、2、3番草は前回の刈取りから40~45日後)刈取る体系となる。この収穫体系により、利用4年目まで年間800kg/10a以上の乾物収量が安定して得られる(図1)。
  • この収穫体系に準じてALを収穫した十勝中部の3戸の酪農家における乾物収量は、いずれも800kg/10a以上である(図1)。また、AL単播草地導入により、泌乳成績は向上する(図2)。
  • 経営計画モデル(面積30ha、経産牛50頭)を用いたシミュレーションの結果、搾乳牛に与える粗飼料中の単播ALサイレージの給与割合を高め個体乳量が増加すると農業所得は増加するが、飼料自給率の向上を図るためには、CP自給率が最高で乳飼比が最低となる40~50%(DM)が、最適な給与割合である(図3)。
  • 慣行の収穫作業によっても、上記のような高品質ALサイレージの調製が可能であるが、調製作業中の品質低下につながる葉部脱落が少なく、乾燥速度が早いフォレージマットメーカ(マットメーカ)を調製作業に組み込むことにより、ALサイレージの品質向上が期待できる(図4)。なお、マットメーカを軸とした収穫作業工程は、刈取り→摩砕(マットメーカ)→集草→梱包→ベール搬出→密封→収納となる。

成果の活用面・留意点

  • 畑地型酪農地帯において、高品質なALサイレージを収穫するための栽培・収穫方法として利用でき、農家がAL単播草地を導入する際の判断材料として活用できる。
  • この成果は、北海道十勝中部で得られたものである。

具体的データ

図1  所内および現地実証農家における年間乾物収量の推移

 

図2 アルファルファ単播草地導入前後における泌乳成績

 

図3 単播アルファルファ導入の経営効果

 

図4 フォーレージマットメーカとテッダによる予乾中の葉部割合の変化

 

表1 アルファルファサイレージの品質

その他

  • 研究課題名:アルファルファを導入した短期輪作技術の開発
  • 予算区分:交付金プロ(地域総合)
  • 研究期間:1998~2002年度
  • 研究担当者:池田哲也、相原克磨、押尾秀一、野中和久、山田豊、中村正斗、松村哲夫、鎌田八郎、糸川信弘、
                      鵜川洋樹、天野哲郎、久米新一、新良力也
  • 発表論文等:糸川ら(2002)畜産の研究 56:263-268.