機械収穫に向けた大規模キャベツ生産のための直播栽培技術

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要約

品種‘グリーンボール’、‘楽園’、‘YR家康’は直播栽培が可能である。施肥播種機を用いて施肥と播種を1工程で行なう。施肥は、速効性の化成肥料と被覆肥料を種子直下に帯状に施用する。播種は、小粒を除いたペレット種子を1粒播きとする。

  • キーワード:直播、キャベツ、機械収穫、施肥位置、雑草管理、斉一化
  • 担当:北農研・総合研究部・総合研究第2チーム
  • 連絡先:電話0155-62-9284、電子メールyamagata@affrc.go.jp
  • 区分:北海道農業・総合研究、共通基盤・総合研究、野菜茶業・野菜栽培生理
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

省力的野菜作としてキャベツ作を畑輪作体系に導入するため、直播・機械収穫体系による大規模キャベツ生産技術体系を確立する。そのため、初期生育に優れ球重の揃いが良い品種の選定と初期生育時の環境を栽培条件により改善して、出芽・苗だち数の向上、初期生育の促進と斉一度向上を図り、機械収穫に適した直播栽培技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • 品種の選定
    ボール系4品種、サワー系5品種、寒玉系4品種のうち、ボール系では‘グリーンボール’、サワー系では‘楽園’、寒玉系では‘YR家康’が、出芽率、初期生育、斉一性、収量において、同系他品種よりも優れる(表1)。
  • 品種‘楽園’を用いた栽培条件の改善
    1)種子は初期生育と斉一性を確保するため、市販のペレット種子を篩でふるって、75%歩留まりを目安に小粒を除くと
      初期生育が早い(表2)。播種は、施肥播種機(畝幅60 cm、株間30 cm、播種深度1 cmに設定)を用いて1粒播きとす
      る(図1)。
    2)肥料は、速効性の化成肥料(成分10-20-10)を窒素で4 kg/10aをベースに緩効性の被覆肥料(肥料成分の80%溶出
      日数が40日、成分14-12-14)を窒素で10 kg/10a、窒素計14 kg/10aを、7~8 cm深、幅2~3 cmで種子直下の位置に
      帯状施用する(表3、図1)。
    3)上記栽培法により5、6月直播の実証栽培を行なったところ、慣行の移植栽培に比べて、5月播きではやや収量が
      劣ったものの、6月上旬播きでは収量が優る(表3)。

成果の活用面・留意点

  • この成果は排水が良くれきの少ない淡色黒ボク土壌の輪作畑に適用できる。また、施肥量については、土壌の熱水抽出窒素量が約2mg/100g乾土の場合である。
  • 品種選定については、‘楽園’は2001、2002年の、‘グリーンボール’、‘YR家康’は2002年の結果に基づく。
  • 品種‘楽園’の直播は4月下旬から7月下旬まで可能であるが、5月上旬までの直播は低収となる。
  • 施肥播種機は、2種類の肥料が繰出し可能なダブルタンク、舟型オープナ、小種子ホッパ・播種盤を搭載できるものを使用する。
  • 畝幅は60 cmが望ましい。他作物と播種機や除草機を共用する場合、66 cmとしてもよいが栽植密度低下による減収の恐れがあり、また畝間除草を徹底する。
  • 雑草管理については、除草個所の視認が可能な圃場管理機を用いて、爪カルチ・タインによりキャベツ本葉1~3葉期から6葉期くらいまで、週1回程度、株際まで除草を行なう。

具体的データ

表1.各品種の発芽、生育、収量の特性

 

表2.品種‘楽園’のペレット種子の大きさと初期生育

 

図1.施肥播種機による直播の様子と畝断面図の模式図

 

表3.実証試験の結果

その他

  • 研究課題名:基幹畑作に直播キャベツを導入した新作付体系の確立
  • 予算区分:大規模畑作
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:山縣真人、小島 誠、八谷 満、石川枝津子、奥野林太郎
  • 発表論文等:1)八谷ら(2002) 農業機械学会北海道支部報42:19-24